広瀬すず『なつぞら』神回で、大人の女性に急激成長 (2/2ページ)
8月2日の放送で、なつは結婚できないと坂場に告げられた直後、坂場への想いを切に語った。彼を好きになった瞬間から、才能ではなく坂場の言葉、生きる力を好きになったのだと、長ゼリフを涙ながらに披露したのだ。
一方で3日の放送では、実に言葉少なく表情だけで演技していたのが印象的だった。坂場が愛を語るのを涙を流しながら優しく見守り、最後はそれを静かに受け止めた。この放送ではセリフの多かった坂場が男を見せたが、なつからは女性らしさや母性があふれ出ていた。2人の感情が入り組んだこの2話は、『なつぞら』史上に残る神回だったといえるだろう。
■美少女から脱却した広瀬すず
それと同時にこの2話は、女優・広瀬すずが、大人の女性を演じた初めての瞬間だったともいえる。現在21歳の広瀬は、これまで映画『ちはやふる』シリーズをはじめとした青春モノに多数出演し、ヒロインを務めてきた。また、2015年の映画『海街diary』や17年の『三度目の殺人』のようなシリアスな作品でも、可憐な少女役が板についていた。それゆえ、ここまでしっかりした「大人の恋愛」を見せるのは初めてなのだ。
考えてみれば、広瀬が演じるヒロインのなつは、ドラマの中では20代後半という設定。自分の実年齢を超えた大人の女性を、8月2日の感情的な「動」の演技と、8月3日の優しさにあふれた「静」の演技で見事に表現した。これまでのみずみずしく爽やかな少女というイメージを打ち破り、艶やかさまで感じさせるのだから、なるほど若くしてトップ女優として君臨しているだけのことはある。今後、広瀬すずには、どんどん大人の女性を演じてほしいものだ。
『なつぞら』は美少女として名を馳せた広瀬すずを、大人の女性に脱皮させた作品と、今後は評価されるだろう。放送は残り2か月を切ってしまったが、クライマックス回を目のあたりにし、今後の放送がさらに楽しみになった。(朝ドラ批評家・半澤則吉)