「第87回夏の甲子園」堂上直倫擁する愛工大名電を粉砕した清峰の「データ野球」 (2/2ページ)
清峰は一塁手・大石将がダッシュするも実らず、適時内野安打となり2-2の同点に。
こうして試合は7回を終わって互いに譲らない好勝負となっていた。まさに戦前の予想を大きく覆す清峰の健闘。その要因となっていたのは清水央彦コーチ(当時)が名電各打者のバントの方向を割り出し、徹底した対策をしていたことだった。エースの古川秀一(元・オリックス)はフィールディングが不得意なため、バント処理は一、三塁手に任せる。これによりバント安打をゼロ。またミスがないだけでなくよけいな体力の消耗も防ぐことができたのだ。逆に名電は得意のバントが効果的に決まらず、波に乗れなかった。試合は延長戦に突入したが、10回裏の2死二、三塁、12回裏の2死一、三塁のチャンスも得意のバントでの揺さぶりが清峰守備陣の堅守で阻まれてしまった。さらに清峰のデータ分析は名電の4番・堂上対策も導き出していた。その結果は、「彼は別格。シングルヒットならOK」というもの。堂上は3安打を放ち、貫禄を見せつけたがすべて単打に終わる。しかも走者を得点機に置いて打席に立つことができなかったのだった。
そして試合は延長13回に決着する。決めたのは清峰のエース・古川のバット。この回先頭の5番・木原の中前打を足掛かりに作った2死二、三塁のチャンスで決勝の2点適時中前打を放ち、熱戦に決着をつけたのである。こうして死闘の末、春の覇者・愛工大名電から金星を挙げた清峰の名は全国の高校野球ファンの間に轟くこととなる。この後、清峰は3回戦で優勝候補の大阪桐蔭に1-4で敗退してしまうが、翌年春の選抜準優勝へつながる足掛かりをつかんで甲子園を去って行ったのであった。
(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=