江戸時代すでに行われていた。意外にも「胴上げ」は日本の歴史ある習慣だった

Japaaan

江戸時代すでに行われていた。意外にも「胴上げ」は日本の歴史ある習慣だった

読者の皆さんは、スポーツ中継を見ていると勝ったチームの選手たちが監督やコーチを胴上げしている場面を見ることがあると思います。また、3月の大学受験の合格発表で、合格者を胴上げしている場面、なんてものもよく見ることができます。

上述のように胴上げは、人生の節目など、おめでたいときに行われてきました。ところが、もともとは「避邪(へきじゃ・悪いものを取り除く)」として行われていました。

ちなみに大相撲にも「神送りの儀式」という似た儀式があります。

その名も「神送りの儀式」!なんと行司さんを投げちゃう、大相撲中継では見られない特別な儀式

古来より日本では、モミをザルなどに入れて上下に振り空中にあげ、良いモミと悪いモミを選別していました。このことからやがて、空中に物をあげると悪いものが取り除かれると考えらるようになったようです。

ではこの胴上げの習慣、どういう由来があるのでしょうか。

胴上げの由来

いくつか由来はあるようなのですが、一説によると、胴上げは、長野県の善光寺。同寺で12月に五穀豊穣、天下泰平を祈願して夜を徹して行われる「堂童子」という行事が由来になっているそうです。

この行事では、終盤になると仕切り役の体を抱え上げ、空中に投げる習慣があり、これが胴上げのルーツとされています。この習慣は江戸時代初期にはすでに行われていたそうです。

各地にある胴上げの行事

また、新潟県糸魚川市には、江戸時代初期から伝わる行事で、「裸胴上げ祭り」という祭りが毎年1月17日に同地の藤崎観音堂で行われています。そこではふんどし姿の男たちが、参拝者の中から厄年の男性を見つけ出して厄除けのために胴上げをします。

同じく新潟県南魚沼市には、毎年1月6日に「婿の胴上げ」という行事があり、前年に結婚した新郎が八坂神社の拝殿で胴上げされます。これは、戦国時代の武将、長尾政景(ながおまさかげ・1526~1564)が他の地域からこの土地へ来てくれた婿養子を祝い励まし、土地の繁栄を願って胴上げをしたのが始まりとされています。

これらも古くから伝えられてきた胴上げの系譜だと考えられます。

しかしこの胴上げ、冷静に考えてみるとものすごく危険な行為。胴上げされた人が落ちて、ケガをすることもあり、喜びが一転、悲劇になる、なんてことも考えられます。結婚披露宴などで酔っ払っているときはしないほうが無難。また、胴上げを何回するかはちゃんと全員であらかじめ決めてからやった方がよいようです。

参考

日本文化研究ブログ 「堂童子」『新纂浄土宗大事典』 「裸胴上げ祭り」『いといがわベース』 「婿の胴上げ」『にいがた観光ナビ』

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「江戸時代すでに行われていた。意外にも「胴上げ」は日本の歴史ある習慣だった」のページです。デイリーニュースオンラインは、日本の伝統行事胴上げ由来習慣カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧