天才テリー伊藤対談「都倉俊一」(3)海外では批評家に泣かされましたよ (2/2ページ)
自由の女神に行くようなツアーの流れの中に、ブロードウェイ鑑賞も組み込まれているわけ。だから「ブロードウェイのお客の目は肥えている」なんて、ちょっとオーバーですね。しかも、代理店がどのショーをツアーに入れるかは批評記事を参考にしますから、評論家が絶大な力を持っているわけです。けなされた時点で、7割は失敗が決まっちゃう。
テリー 都倉さんもそれを経験されたわけですね。
都倉 94年にロンドンのメジャーシーンでミュージカルをやった時、歌や演者に触れず、テーマに掲げた長崎の原爆問題だけにかみつかれた時は、もう頭に来ました。そういうことを何度も経験しましたから。
テリー そういう状況の中では、日本の歌謡界の様子なんかは気になりませんでしたか。
都倉 僕がアメリカに行っていた頃、ちょうど松田聖子や中森明菜なんかが売れ始めたじゃないですか。実際、曲の依頼もありましたが、断ってしまったんですよね。「やっておけばよかったなァ」って、いまさら後悔しているんですよ(笑)。