世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第332回 民間黒字と政府貨幣発行残高 (2/3ページ)
日本銀行は、日本政府の子会社になる。政府の子会社である日本銀行が、日本国債を市中銀行から買ったとする。すると、国債の債権者が市中銀行から日本銀行へと移動する。日本政府と日本銀行は会計上、連結決算となる。会計ルールに則る限り、そうならざるを得ない。
いわゆる「統合政府」だが、統合政府のバランスシートを作成すると、日銀保有の国債は「債務者=債権者」となるため、相殺されて消滅する。もっとも、日銀が国債を購入する際に発行した「日銀当座預金」という貨幣は、バランスシートの貸方(右側、負債や純資産を計上する)に残る。
さて、政府債務、あるいは財政赤字の蓄積の多くは、要するに「国債(及び財投債)発行残高」である。
日本政府と日本銀行のバランスシートを統合すると、「国の借金!」と、やたらクローズアップされる「国債・財投債」の半分近くが日銀保有ということで消滅する。代わりに、日銀が国債を購入する際に発行した日銀当座預金が貸方に現れる。もっとも、日銀当座預金の内、115兆円は市中銀行に「現金化」されている。
というわけで、2018年末時点の統合政府のバランスシートの貸方は「現金115兆円」、「日銀当座預金405兆円」、「国債・財投債442兆円」、「その他負債421兆円」となる。ちなみに「その他負債」とは、政府が発行した国庫短期証券や地方債である。
図を見ると、いわゆる量的緩和政策とは、単に「統合政府の国債・財投債という負債を、日銀当座預金という貨幣に置き換えた」だけであることが理解できる。実際、中央銀行の国債買取について、英語では「Monetization」となる。直訳すると「貨幣化」なのだが、なぜか日本では「財政ファイナンス」と呼ばれている。
意味不明な日本語訳はともかく、実体として中央銀行が買い取ることで国債は貨幣化される。日本国債が100%日本円建てである以上、国債発行残高(図では国債・財投債)は単に「貨幣化していない政府の借用証書」という意味を持つにすぎないのだ。
さらに突っ込んで考えてみよう。国債とは、償還期限が決まっており、代わりに金利が多少高い政府の債務(保有者の債権)である。