「第66回夏の甲子園」KKコンビに挑んだ「もう1つの金農旋風」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

実は水沢は当時の高校生投手にしては珍しくシュートを得意としていた。PLの各打者たちは内角を突くシュートを意識するぶん、外角へのスライダーやカーブに泳いだ。水沢とバッテリーを組む捕手・長谷川の好リードにも翻弄され、狙い球を絞りきれずにいた。7回まで三振0ながら築かれる凡打の山。甲子園に詰め掛けた大観衆の間には“ここでPLが敗れてしまうのか”という緊張感がすでに走っていた。そんな中でついに運命の8回裏を迎えることとなるのである。

 この回、1死から水沢は4番・清原を四球で歩かせてしまう。続く打席には桑田。ここまでの3打席はカーブを引っ掛けさせて打ち取っている。この場面で金足農の捕手・長谷川はこう考えた。「カーブのボール球で誘っておいて、そのあとの内角真っすぐで詰まらせる。もし、カーブに手を出してきても、ボール球なら引っ掛けてくれる」。初球は外角の直球でストライク。そして2球目。サインはカーブのボール球である。だが、この土壇場で準々決勝までの4試合をほぼ一人で投げ抜いてきた右腕のコントロールが狂った。すっぽぬけたボールが魅入られるようにやや外角高めのストライクソーンへ。一方、桑田は監督からの指示もあり、完全にカーブに的を絞っていた。その桑田のバットが一閃。高く舞い上がった打球は一直線にレフトポールの上を超えていく。長谷川からは「ファウルに見えた」打球だったが、塁審の手は回っていた。PLにとっては起死回生の特大逆転2ラン。これぞまさに王者の底力であった。

 最後の最後で大ドンデン返しを食らった金足農に、もはや反撃する力は残っていなかった。9回表の攻撃はあっさりと3人で終了。だがヒット数ではPLの5本に対して金足農は8本。その健闘を讃えた場内からの温かい拍手はしばらくの間、鳴り止むことはなかったのである。

 かたや、苦戦の末に2年連続決勝戦進出を果たしたPL。2連覇は確実と思われたが、名将・木内幸男率いる取手二(茨城)相手に決勝戦も大接戦。結果、延長10回の激闘の果てに4‐8で惜敗し、V2を逃したのであった。

(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=

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