憎まれっ子、世に憚る!父親の仇討ちで新選組に入隊した三浦啓之助の生涯を追う【下】 (2/4ページ)

「追えっ!脱走者は切腹だ!」
……と口では言いながら、内心「やれやれ、やっと居なくなってくれたか」と胸をなで下ろした土方たちの安堵が察せられます。
追手の中には本気で啓之助を切腹させたい者もいたでしょうが、その多くは「あんな奴、居なくなってくれればそれで充分」とでも思っていたのか、追跡もゆるゆるだったようで、啓之助たちは無事に故郷・信州松代まで逃げおおせたのでした。
辛くも切腹の危機から脱した啓之助。しかしそんな事くらいで改心するようなタマでもなく、地元に帰っても芦谷昇と一緒に乱暴狼藉に明け暮れ、とうとう松代藩によって捕らえられてしまいます。
この時、共犯者であった芦谷昇は啓之助を囮(おとり)にして逃亡。裏切られたことを知った啓之助の無念は察するに余りあるものの、身から出た錆と言うよりありません。
「おめェの頭脳は、新しい日本で必ず役に立つ……」「……だぁからロクなことにならねェっ言(ツ)ったじゃねェか!ちったァ他人の言うことを聞きやがれこのトンチキっ!」
獄につながれた啓之助の身柄を引き受けたのは亡き父・象山の義兄・勝海舟。幕府の要職にあって激務の中、啓之助の実母であるお蝶に泣きつかれたのかも知れません。