あの名作は、誰が、なぜ、盗み、壊したのか (2/2ページ)
誰もが知る名作すらも過去に盗難に遭っていたという事実にもハラハラさせられるはずだ。
なぜこうも美術作品は簡単に奪われ、破壊されていくのだろうか。それは、美術作品の持つ普遍的な「性質」によるものなのだろう。人類の歴史上、贅を尽くした宝飾品や豪華絢爛な絵画など、「美しさ」を追求した美術作品は、王侯貴族など歴代の権力者によって富や権威の象徴として利用されてきた。それゆえ、人々の欲望やエゴイズムの影響を受けやすくなるのだ。芸術作品を後世まで守り継いでゆく難しさはここにある。
著名な美術作品が失われる時、作品そのものは確かに二度と戻らない。しかし、作品にまつわる逸話やストーリーは、貴重な作品であればあるほど多く残されているものなのだ。
本書は、残された数多くの資料を元に、「失われたアート」の謎をひとつひとつ紐解いていく。かつて圧倒的な輝きと存在感を放ち、歴史の中で翻弄された美術作品に隠された、知られざるストーリーを楽しむ。これもまた、新たな美術鑑賞の醍醐味といえそうだ。
「『かげ』を知ることにより『ひかり』は一層輝きを増し、新たな魅力を讃えるものです。きっと次から展覧会で絵画を前にする気持ちに変化が現れるにちがいありません。」
中村さんは、本書の前書きでこんなことを語っている。
過去20年以上にわたって、年間300以上の美術展に足を運びつづけている達人が提案する新しい「美術鑑賞」の楽しみ方を、ぜひ本書『失われたアートの謎を解く』で存分に味わってみて欲しい。
(新刊JP編集部)