あの名作は、誰が、なぜ、盗み、壊したのか (1/2ページ)

新刊JP

『失われたアートの謎を解く』(筑摩書房刊)
『失われたアートの謎を解く』(筑摩書房刊)

「美術鑑賞の面白さは、今あるものを美術館で見るだけではないんです。むしろ、戦争や盗難、天災といった様々な理由で、この世からなくなってしまった美術品、つまり「失われたアート」を見る面白さもあるんです。」

そう語るのは、アートブログ「青い日記帳」を主宰するTakさんこと中村剛士さんだ。美術鑑賞の達人、カリスマアートブロガーとして知られる中村さんは、これまでも著書『いちばんやさしい美術鑑賞』(筑摩書房)や、『カフェのある美術館』(世界文化社)などを通して、肩肘張らないカジュアルな美術鑑賞の楽しみ方を紹介してきた。その中村さんが新たに着目したのが、すでにこの世から姿を消してしまった美術作品、つまり「失われたアート」を愛でる楽しみだ。

■なぜ芸術作品は破壊され、盗まれるのか

日本は世界有数の美術館大国である。東京・大阪などの大都市はもちろん、全国47都道府県に一生かけても回りきれないくらいの美術館で、毎日数多くの企画展が開催されている。そんな充実した状況の中、敢えて「失われたアート」を鑑賞することには、一体どういう意味があるのだろうか。

その答えは中村さんが監修した『失われたアートの謎を解く』(筑摩書房刊)を読むとよくわかる。

同書では、盗難や略奪、あるいは個人の身勝手な事情など様々な理由で捨てられ、破壊された20の美術作品や文化遺産を取り上げて解説。作品消失に至る一部始終や隠された意外なストーリーも掘り下げられ、読み物としても楽しい。300点以上のカラー写真や図解も大いに理解の手助けとなる。

表紙

人間の愚かさや欲深さにクラクラするとともに、推理小説以上に奇想天外で鮮やかな美術品盗難の手口や、約70年ぶりに発見されたナチス財宝の発見譚にあっと驚かされるなど、読み進めるうちに様々な感情を揺さぶられる。あのダ・ヴィンチ《モナ・リザ》やムンク《叫び》など。

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