テリー　〝原発ゼロ〟という言葉を聞くと、反射的に「即座には無理」「電気代が高くなる」という意見が出てきますよね。

小泉　いや、だからそれもウソなんだ。東日本大震災以降に稼働している日本の原発はたったの2基、しかも、13年6月から15年までの2年間はゼロ。その間、北海道から鹿児島まで、電力不足で停電になったことは一度もないでしょう。

テリー　確かに。

小泉　ドイツは11年に、22年までの原発全廃を決定したけれど、それからまだ7～8年しかたってないのに、今ではもう全電源の30％を自然エネルギーで供給している。それって日本でも原発なしで十分やっていける証明になっているじゃないか。

テリー　じゃあ、なんでやらないんですか。

小泉　不思議だよ。しかもあきれたことに、経産省が去年発表した2030年以降のエネルギー計画を見ると、自然エネルギーを拡大させる一方で「原発をベース電源として全電源の20％から22％を維持する」と明記しているんだ。そのために、本来の原則なら運転開始後40年で廃炉にしなければならない原発を「安全基準を満たした」という理由で、原子力規制委員会が20年の運転延長を認め始めているんだ。

テリー　それって、本来の規約だと今後かなりの数の原発を廃炉にしていかなくてはならない。それに代わる新しい原発を作る手間を省きたいからですよね。

小泉　そのとおり。「安全基準を満たした」と言っても、それはあくまで現段階でのものでしかないわけ。しかも、だいたいの事故は想定外の原因だし、予想のしようもない。

テリー　本の中では「福島で四号機の原発が爆発して放射能が漏れたら、5000万人が避難する可能性があった」と指摘されていますね。

小泉　当時の民主党政権では、福島から250キロ圏内に住む人たちを全て避難させることを想定していたんだ。東北はもちろん、東京や神奈川まで圏内になるわけで、それだけの国民が避難する場所なんて、どこにもないよ。

テリー　それって、前代未聞のパニック状態ですよ。

小泉　だから私は「原発を持つことは日本国民に向けた原爆を持っていることと同じだ」と言っている。