政治とスポーツは無関係か?”民族”の認識のズレ「いだてん」第35話 振り返り (2/3ページ)
のちにプロパガンダ映画と評される「オリンピア」
ヒトラーはもともと「ユダヤ人の祭典だ」としてオリンピック開催に難色を示していましたが、プロパガンダに利用できるとわかると、積極的にかかわるようになります。
ヒトラーが高く評価したのが、オリンピックの記録映画である「オリンピア」です。スポーツ選手の身体美を強調し、アーリア人の優位性を世の中にアピールした作品。邦題の「民族の祭典」の「民族」とは、ここでは「アーリア人」のみを言うことがはっきりとわかります。
ベルリン大会時にはすでにナチスによるユダヤ人迫害政策は進んでいましたが、大会中は人種差別政策が一時中断していたそうです。しかし第35話では、短距離走で金メダルを獲ったアフリカ系アメリカ人選手とはヒトラーが握手をしなかったこと、選手村で怯えるように「ハイルヒトラー」を繰り返すユダヤ人スタッフ……。
彼らはオリンピック中は「ドイツ人」として働いているのですが、彼らの様子から決してドイツ人と同じ「民族」として扱われていないことがわかります。
祖国の国旗・国歌で表彰されなかったマラソン日本代表ベルリン大会では、日本がマラソンで初めて金メダルを獲得します。しかし、金メダルを勝ち取ったのは日本統治下の朝鮮出身・孫基禎選手でした(銅は同じく南昇竜選手)。
孫基禎 (Wikipediaより)
彼らは「オリンピックに表彰式というものがあり、国旗を掲げて国歌が演奏されるということを知らなかった」と語りの五りんから説明がありました。彼らは日本代表として出場していても、朝鮮出身であることを誇りに走ったのです。現地でサインを求められた際はハングルで名前を書き、「Korea」と併記したそうです。彼らにとってそれがアイデンティティだったのです。