清原果耶ほか『なつぞら』再登場の連発は、ただのサービスではなかった

日刊大衆

清原果耶ほか『なつぞら』再登場の連発は、ただのサービスではなかった

 放送終了まであとわずかとなった連続テレビ小説なつぞら』(NHK)は、なつ(広瀬すず/21)が作るアニメ『大草原の少女ソラ』が始まり、アニメ史を丹念に描くというドラマのテーマがここにきて結実している。しかし、実はこのドラマはその主題よりも、裏テーマこそ重要なのだ。ここでは9月14日の放送を振り返り、『なつぞら』の裏テーマについて考えてみたい。

 なつ(広瀬)が作画監督を務め、夫の坂場一久(中川大志/21)が演出を務める『大草原の少女ソラ』の放送がスタートした。視聴率は上がらないものの視聴者からの評判は上々で、スタッフ一同は張り切っていた。そんなある日、『大草原の少女ソラ』を見ているという1人の少女が制作会社を訪ねてきて……。

 この放送では『大草原の少女ソラ』のオープニングが、『なつぞら』のオープニングとリンクするという演出にぞくぞくした。幼き日のなつがモデルだと思っていたオープニングアニメが、実際になつが作るアニメにつながるとは! 驚き、感動したが、実はほかにもこれぞ朝ドラという演出がほどこされているのだ。

 それが「再登場」である。とうとう清原果耶(17)が演じるなつの妹、千遥が再登場したのだ。SNSでは「遂に千遥ちゃんが……」「千遥キタああああ」とつぶやく人が続出し、話題をさらった。そして千遥の娘、千夏として登場したのが、なつの幼少期を演じた粟野咲莉(9)だったというのも、心憎い演出だ。なつの子ども時代の感動演技が好評だった粟野の再登場に、喜んだファンも多かっただろう。

■山口智子も再登場で話題に

 朝ドラは放送期間も撮影期間も長い。それゆえ出演者の多くが、物語の後半で再登場することが、特徴の1つになっている。これまでも1996年のレジェンド作『ふたりっ子』では、ヒロインの幼少期を演じた当時は子役の三倉茉奈(33)と三倉佳奈(33)が、後にヒロインの娘役として再登場をして話題となった。

『なつぞら』はこの「再登場」というクラシックな演出方法を上手に使い、ドラマをより重厚にしている。まず、驚いたのが山口智子が演じた亜矢美の再登場だ。東京を飛び出した彼女はなんと北海道に上陸。偶然、なつたちと再会すると、雪次郎(山田裕貴/28)が働く菓子店、雪月で働くことになるという、かなりトンデモな展開だった。

 ほかにも、なつが川村屋で働いていた頃の同僚、水谷果穂(21)が演じる佐知子が、咲太郎(岡田将生/30)の事務所に雇われて再登場。戸田恵子が演じる歌手の煙カスミが、『大草原の少女ソラ』のオープニング曲を歌い再登場するなど、物語終盤に向けて懐かしのキャストが次々に顔を見せている。

「再登場」は朝ドラの定番演出手法なのだが、ここまで連発されるのは珍しい。本作の脚本家、大森寿美男氏が手がけた朝ドラ『てるてる家族』は石原さとみ(32)の主演だが、ヒロインの幼少期に出会った人々との関係が将来につながる、という人の「つながり」が丹念に描かれた良作だった。ご存知の通り『なつぞら』はアニメ史がメインのテーマだが、この「再登場」の連発を見ると、人との縁が、さらに新しい縁を生んで広がりを見せていくことを、かなり意図的に強調している。『なつぞら』が本当に伝えたかった裏テーマは、この“人のつながり”だったのかもしれない。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

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