本当にあった怖い話:杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載110 (2/4ページ)
「おい、そこの人、知ってる人じゃない? こっち見てるよ」
と俺がギンティの背後を指さし、
「え、誰ですか?」
振り向こうとする瞬間に、
「ほら。わら人形だよ」
と言うと、
「うわーーーっ、脅かさないでくださいよ!」
みたいなことが何度か繰り返され、これがなんともいえずおもしろかったので、
「ほら、見てるよ。わら人形じゃない、あの人」
「ぎゃあーーーー、脅かさないでもうーーー」
と、何度目かの、
「わははははは」
力夫が笑った直後、というか、俺、ギンティ、力夫の順でしゃべった、そのタイミング的に間違いなくその次の人として…………。
わら人形の声がはっきりと、大きく、入っていた!
編集スタジオで最初聞いた瞬間、俺は気絶寸前だった。すぐスタッフのモモヒキに聞かせると最初なんですかーみたいな顔してたモモヒキも顔面蒼白になり、ガタガタ震えはじめた。
こわすぎてそのとき一回だけしかまだ聞いていない。
つまり編集もまだしてないのだ。
こわくてその素材に近づきたくないぐらいだ。
今週は各番組内番組移行のため番組内番組をすべて休止したので編集せずにすんだが、いよいよ、これを編集しなければならない。
「もしかして、声が消えてるかもしれないな」
「だったらこわすぎますよ」
「たしかにな……」
とか言いながらも消えてたら聞かずにすむし、もしかしたら疲れていて幻聴が聞こえたのかもしれない。だが残念でもあるだろう。なぜなら、過去、古今東西、ここまではっきりと異界の音声が録音できた例はないと思えるからだ。そこまでくっきり録音できていた。はっきりと、それも一瞬とかではない、ちゃんと、しっかり、がっちり聞こえるように。はっきりとなにかを主張するように。
こわすぎる。まだ何曜日放送か決めかねています。来週には放送します。俺および俺たちの身になにごともなければ……。