エイリアンの卵ような殻の中には赤い悪魔の指。地球内生物の概念を覆すタコスッポンダケのリアルな姿がとらえられる(イギリス)

カラパイア

エイリアンの卵ような殻の中には赤い悪魔の指。地球内生物の概念を覆すタコスッポンダケのリアルな姿がとらえられる(イギリス)
エイリアンの卵ような殻の中には赤い悪魔の指。地球内生物の概念を覆すタコスッポンダケのリアルな姿がとらえられる(イギリス)

Image by AlbyDeTweede/iStock

 カラパイアでは何度かお伝えしているスッポンタケ科のキノコ、クラスラス・アーチェリ(Clathrus archeri)の奇妙さはキノコ界でも突出している。

 本体は赤いタコの触手や悪魔の指のような形状をしていて、成熟すると強烈な悪臭を放つのだ。だがそれだけではない。

 成長する前は、まるでクイーンエイリアンが産み落とすエッグチャンバーのような卵の中に入っていて、そこからぬるっとでてくるのだ。赤いフェイスハガーかな?異星人が地球に仕込んでいったのかな?と思わずにはいられないほどには興味深いキノコなのである。
・イギリスの国立公園で写真家が遭遇

 イギリス、ハンプシャー州で活動する写真家、ダン・ホア氏は、イギリス最大の森林のひとつであるニューフォレスト国立公園を歩いていたとき、まさにこいつと出会ったという。

 それはあちこちで草に埋もれていたが、彼の脳内では、映画のエイリアンに出てくるエッグチャンバー(卵)がぐにゃりと口を開けて、中からおぞましいものが生まれ出てくるあのシーンが再現されたそうだ。

 ホア氏はこの奇妙な"卵"が変化していくさまざまな段階を写真におさめ、ツイッターでシェアしてくれた。


 上記ツイッターの4枚の写真をよく見ると、1枚目の写真には、赤い"触手"のようなものが透明な膜を破って伸び始める様子が写っている。

 別の写真では、内部にあるその赤い触手のようなものが膜から出ようとすると、外側の革のように堅そうな外皮が押し上げられている様子がわかる。

 3三枚目の写真は、黒い斑点のついたボツボツした毒々しい赤い触手が中から伸びてきて、タコ型エイリアンのように広がる場面だ。これがなんであれ、確かに生きているものだ。触手の膜は、まるでざらざらした舌の表面のようで、エイリアンみがすごい。


・地球外生命体のようなクラスラス・アーチェリ

 とはいえこの奇妙な生物は宇宙からやってきたわけではない。もともとはオーストラリアやニュージーランドに生息していたものが、ハエによってもたらされ、北半球の温暖な森林周辺で繁殖したものだと言われている。

 クラスラス・アーチェリ(Clathrus archeri)は、その見た目や特徴から、アメリカでは「オクトパス・スティンクホーン(タコの臭い角)」と呼ばれ、イギリスでは「悪魔の指」と呼ばれている。日本ではタコに似たスッポンタケ科のキノコであることから、タコスッポンダケという俗称で呼ばれることもあるそうだ。

 クラスラス・アーチェリは、ユニークな方法で自由に場所から場所へと移動していく。

 このキノコは腐生菌で、体内の粘液を放出して悪臭を放ち、ハエを惹きつける。ハエはクラスラス・アーチェリの上にとまって、粘液と一緒になった胞子を食べる。

 ハエは胞子を食べるだけでなく、翅や足にくっつけて飛び立ち、キノコのために胞子をあちこちにまき散らす。そうして世界中に広がっていったのだ。



 見た目は奇妙だが、ハエを利用し子孫を繁栄させる戦略をとるあたり、なかなかの策士である。

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Image by AlbyDeTweede/iStock

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Image by AlbyDeTweede/iStock

 その成長を早回しにしたタイムラプス動画があるのだが、それを見るとますます、エイリアンが地球に置いて行った地球外生命体の様相を呈している。


Clathrus archeri (Devil's Fingers / Octopus Stinkhorn fungi) erupting from their eggs time lapse
written by konohazuku / edited by parumo
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