死亡危険因子別の死亡数で喫煙、高血圧に次いで第3位となったのは?

心に残る家族葬

死亡危険因子別の死亡数で喫煙、高血圧に次いで第3位となったのは?

敬老の日を前に発表された厚生労働省の調査によれば、今年の9月15日現在の100歳以上の高齢者は7万1238人(内女性6万2775人)と初めて7万人を超え、49年連続で増加した。老人福祉法が制定された1963年には100歳以上の人は僅か153人だった。女性の最高齢は116歳で男性の最高齢は112歳である。厚生労働省は「医療技術の進歩や健康増進など複合的な要因が考えられる。」と分析している。人間の限界寿命は120歳と見られているが、いよいよ「人生100年時代の到来」と言えるだろう。

■運動不足が原因で毎年約5万人が死んでいる

7月中旬、あるお医者さんの高齢者向けの健康講座を聞く機会があった。その中で2007年のわが国における死亡危険因子別の年間死亡数で、なんと運動不足が第3位で約5万人となっていたのには驚いた。1位は喫煙で約13万人、2位は高血圧で約11万人となっている。4位以下は高血糖、食塩摂取、飲酒、悪玉コレステロール高値、過体重・肥満、野菜果物の低摂取となっている。運動不足は高齢者や入院患者に多く見られるが、誰にでも簡単に起こり得る。若い人でも持っている機能を使わないと簡単に心身機能は低下する。

■サルコペニアとは一体どのようなものか

この健康講座では「サルコペニア」と「フレイル」と言う言葉を初めて聞いた。「サルコペニア」とはギリシャ語の「筋肉」を表すサルコと「喪失」を表すペニアを組み合わせた言葉で、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態を言い、転倒、骨折、寝たきりなどのリスクが増える原因にもなる。要因としては加齢や疾患により筋肉量や食事摂取量が減少することがあげられる。

■サルコペニアになりやすいタイプとセルフチェック方法

サルコペニアになりやすいタイプとしては以下の通りだ。

(1)体格指数(BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が18.5未満の痩せ型の人。(健康講座の医師も健診を受けた病院の院長も痩せた人より小太りの人の方が長寿だと言っていた。)
(2)横断歩道を青信号で渡り切れない人。
(3)ペットボトルやビンの蓋が開けにくい人。(握力の低下)
(4)脂肪が多く筋肉が少ない人。

サルコペニアは指輪っかテストでセルフチェックできる。ふくらはぎの1番太いところを両手の親指と人差し指で作った輪で囲み、囲むことができなかったり、ちょうど囲むことができる場合は問題ないが、指が重なったり、ふくらはぎと輪の間に隙間ができる場合は、サルコペニアの可能性が高いとのことである。

■フレイルとは

フレイルとは虚弱を意味し、加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態で、要介護の前の段階である。

フレイルの要因としてはサルコペニアやロコモティブシンドローム(骨、関節、筋肉に支障を来して運動障害がひき起こされる状態)などの身体的要因、うつ病、認知症などの精神的要因、孤独、閉じこもりなどの社会的要因があげられる。サルコペニアは身体的機能の低下であるのに対して、フレイルは身体的だけでなく、精神的、社会的な衰弱や虚弱を含む。

■どんな食事が望ましいか

食事としては以下の通りだ。

(1)主食、主菜、副菜をバランスよく摂取すること。
(2)筋肉の素になる蛋白質を多く含む肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを十分摂取すること。
(3)骨を強くし、骨折や転倒予防にカルシウムを多く含む牛乳、プロセスチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられるイワシ丸干し、シシャモ、干しエビ、シラス干しなどの小魚、豆腐、納豆などの大豆製品、小松菜やチンゲン菜などの野菜類、干しワカメや乾燥ひじきなどの海藻類、いりごまなどの種実類とともにカルシウムの吸収をよくするビタミンDを含む魚類や干ししいたけなど。

因みに長年長寿者の食事を研究調査してきた永山久夫氏によれば、長生き名人が毎日のように食べている長寿食ベスト10は大豆、酢、海藻、野菜、魚、果物、お茶、牛乳、芋、梅干しとのことである。

■どんな運動が良いか

足や腰の筋力をつけて転倒、骨折、寝たきりを防ぐ運動としては以下の通りだ。

(1)ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動
(2)スクワット、上体起こし(腹筋運動)、ランジ(片足を前に出し、腰を曲げて体重をかけていく運動)などのレジスタンス運動
(3)バランス能力をつける片足立ちなど。

厚生労働省でも「健康日本21」で日常生活における歩数の増加(現状より1日1500歩増加の65歳以上の男性7000歩、女性6000歩)や運動習慣者の割合の増加(現状より10%増加の65歳以上の男性58%、女性48%)を推進している。こうした食事や運動を通じて、サルコペニアやフレイルを予防し、健康でいきいきした生活を送りたいものである。

■参考資料

百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について(厚生労働省ホームページ)
平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~(厚生労働省ホームページ)
健康日本21
永山久夫の長寿王国

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