恐怖の大増税時代に!「金のかからない街」「金のかかる街」

日刊大衆

写真はイメージです
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 住む場所によって、生活費は変わる。大増税時代を生き抜くために、移住を考えるのも選択肢の一つなのだ!

 政府は本誌既報の通り、消費税を10%へ引き上げる見返りに軽減税率とプレミアム商品券の発行やポイント還元を実施。景気後退への影響を最小限にとどめようと躍起になっている。ところが、経済アナリストの森永卓郎氏は、「消費税増税による国民の負担増は5.7兆円。そのうち軽減税率適用に伴う減税は、わずか1.1兆円にとどまります。もともと、外食や酒類を除く食料費は、消費全体の2割に過ぎないから当然のこと。逆に今回の増税で電気・ガス・水道や公共交通費など、必需品が軒並み値上がりします」と語る。

 その他の優遇措置についても、「まずプレミアム商品券ですが、ほとんど効果を持たないことは地域振興券の経験で明らか。ポイント還元も同様です。プレミアム商品券とポイント還元に投じられる予算も4500億円に過ぎません。前回の消費税増税の際には、3%の増税分と同じく実質消費がきれいに3%下落しました。今回も、同じことが起きるでしょう。しかも、今回の消費税増税の問題点は、景気後退期という最悪のタイミングで行われることです」(前同)

 いよいよ庶民の暮らしを増税が直撃するわけだが、この“恐怖の10%消費増税”を目前に、我々庶民はどうすればいいのか。そこで注目されているのが「地方」だ。森永氏がこう続ける。「私は埼玉県所沢市に四半世紀以上住んでいます。平日は都心の事務所で寝泊まりすることも多いんですが、週末に所沢に帰るたび、気分が爽快になります。 鳥のさえずり、きれいな空気、おいしい水。少し郊外に行くだけで、自然環境は大きく変わります」

 しかも、このまま東京で暮らし続けると、“介護難民”という現実が待ち受けることになる――。「日本創成会議」(増田寛也座長)の提言によると、今後10年間で東京圏の介護需要が45%増え、介護施設が極端に不足するという。「都心部には介護施設を作ることのできる土地が少なく、あったとしても地価が高い。したがって介護施設の料金が高騰してしまう。現に東京都心の介護施設の中には、入居金が1億円というところまであります」(前同)

 それでは、どこに移住すればいいのか。それはもう、「カネのかからない街」がいいに決まっている。

■物価が安いのは?

 まずは物価。予想通り東京都が47位。全国平均を100とした指数で東京都は104を上回り、神奈川県と並んでぶっちぎりの物価の高さとなっている。ちなみに、最も物価の安い宮崎県の指数は96だ。

 大都市・福岡、北九州を抱える福岡県が4番目に物価が安いのは意外だが、このところ、特に注目されているのが5位の長野県だ。都市と地方の橋渡しを行う「認定NPO法人ふるさと支援センター」が来場者を対象にした「移住希望地ランキング」(2018年版)調査によると、2年連続で1位に輝いたのが長野県。次いで2位が、昨年の3位から一つ順位を上げた静岡県だ。

 消費者物価ランキングでみると、静岡県は決して上位とは言えないものの、健康保険料ランキングでは5位に躍り出ている。移住希望地ランキング1位の長野県は、最も健康保険料の安い新潟県に次いで堂々の2位。長野県の総合力の高さが目を引く。

 ところで、なぜ健康保険料が都道府県によって変わるのか。実は住民税も自治体によって違いがある。「豊田市は、そこに工場のあるトヨタが負担しているので住民税が安い」などとよく言われるが、この話は都市伝説。住民税の税率は一定だ。

「しかし、住民税には均等割という部分があり、ここが自治体によって若干違います。ただ、それが都道府県税であれ市町村税であれ、1000円程度の開きしかありません。ところが、国民健康保険料の場合は自治体が運営しているため、地域格差が大きいんです。算定方式の違いに加え、高齢率でも料率が変わってきます。高齢者が多ければ、それだけ医療費がかかります。だから、どうしても保険料が高くなってしまうんです。計算方法にもよりますが、最大で1.5倍の差がついてしまう場合もあります」(地域活性化NPO職員)

 住む街によっては最悪、5割増しの保険料を支払わなければならないのだ。

■電気・ガス・水道のライフライン料金は数倍の格差も!

 この他、電気・ガス・水道というライフラインの料金にも地域差がある。「その街によって電気やガスを供給する会社、特にガスの場合、プロパンか都市ガスによっても料金が違います。そして、最も差の大きいのが水道代なんです」(前同)

 これも水道は自治体が運営しているためだ。「たとえば、水質に恵まれている自治体だと、設備にそれほど予算をかけずにすみます。自治体によって水道料金が2倍違うというのはザラ。引っ越してきたら、水道代が前の街の5倍かかったというケースもあります」(前同)

 まずは読者自身が「ここに住みたい」と思うのが第一だが、次いで、物価・住民税・健康保険料・ライフライン料金を比べて、カネのかからない街を探していただきたい。その際、移住促進政策として各自治体では独自にお得な行政サービスを実施している。

 移住のための引っ越し代や転入後の家賃補助などを行っている自治体は多いが、中には「0円住宅」、つまり、住宅がタダでもらえるサービスもある。滑津大滝などの自然豊かな宮城県七ヶ宿町の場合、一戸建ての住宅がタダでもらえる。ただし、それには20年間、同町で暮らす必要がある。「まず、建設した住宅を町営住宅として町が借り上げて、入居者から家賃をいただき、20年たったら住宅そのものを差し上げるという仕組みです」(同町農林建設課)

 募集期間中には毎回20件ほどの申し込みがあるというから、なかなか人気の制度。それだけ地方への移住希望者が多い証拠だ。

 ただ、都会のマンション暮らしに慣れた人が田舎の一戸建てに引っ越すと、セキュリティ面で不安になるもの。最近は田舎でも凶悪事件が増えているからだ。ところが、茨城県日立市では、窓ガラスの防犯ガラスへの取り替えや防犯カメラの取りつけなどの防犯対策に最大5万円が助成されるから、至れり尽くせり。

■地方自治体のホームページをチェック

 このほか、脱サラして、地方で新しい職業についてみたい人をサポートする制度も充実している。

「特に秋田県では若い女性、“秋田美人”の県外転出が問題になっています。都会へ出て行った彼女たちのUターンほか、新たな移住者を求め、アノ手コノ手のサービスを実施しています。都会から地方への移住を希望する方は、まずホームページを見ていただきたいです」(秋田県職員)

 引っ越し先のだいたいの見当がついたら、まずは住んでみたい地方自治体のホームページをチェック。また、一般社団法人「移住・交流推進機構」のホームページでは、全国の自治体で実施する「サービスの一覧」を検索できる。

 最後に、都会と田舎の中間、つまり“トカイナカ”での暮らしを推奨する前出の森永氏が、こう締めくくる。

「都心は家賃や人件費が高く、物価が高い。かといって田舎は田舎で、逆に商店の売り上げ規模が小さいため、物価が高くなりがちなんです。道路沿いに大規模チェーン店が立ち並ぶ“トカイナカ”の物価が、実は一番安いんですよ。これから公的年金の支給削減が見込まれる中、物価の安さは最大のメリット。さらに“トカイナカ”は住宅価格も安く、移住コストもさほどかかりません。だから私は、“トカイナカ”こそ“終の棲家”の王道だと考えています」

 消費増税を機に、カネのかからない街への移住を考えてみるのもよさそうだ

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