格子戸の別れ…新選組「山南敬助」の切腹の間際に彼の元を訪れた恋人・明里とはどんな女性?

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格子戸の別れ…新選組「山南敬助」の切腹の間際に彼の元を訪れた恋人・明里とはどんな女性?

切腹の間際に山南敬助の元を訪れた恋人「明里」

確かな剣術の腕を持ち、新選組で局長・近藤勇、副長・土方歳三に次ぐ「総長」の地位にまで出世した、山南敬助(やまなみけいすけ)。しかし彼は隊則に背いて脱走の罪を犯し、切腹となってしまいました。

なぜ脱走?なぜ切腹?謎が多く残る新選組 総長「山南敬助」

そんな彼には、死の間際に彼の元を訪れた「明里」という恋人がいたと伝わっています。「格子戸の別れ」として有名なこの場面を演じた明里とは、いったいどんな女性だったのでしょうか?

人物像がほとんど何も分からない謎の女性!?

明里については、幕末に生きた女性で山南敬助の恋人だったということ以外、ほとんど何も記録が残っていません。

そのことから、山南と彼女にまつわるエピソードは全て、昭和になってから子母澤寛によって書かれた『新選組遺聞』の創作ではないかという説も存在します。

明里は京都島原の「天神」という階級の遊女で、山南敬助が切腹した頃は21~23歳くらい。既に遊女からは身を退き、故郷で暮らしていたといいます。

大河ドラマ「新選組」では、堺雅人さん演じる山南敬助が、脱走する前に明里を身請けしていたことになっていましたね。

「天神」は京都や大坂の遊女の階級で、吉原では「太夫」に次ぐ「格子」に該当する高い地位でした。遊ぶために必要な料金が北野天神の御縁日の日と同じ25匁(太夫の半額以下の料金)だったことから、そう呼ばれるようになりました。

明里もその地位に相応しく、「武家の妻」のような雰囲気の上品で美しい女性だったのだそうです。

切腹を言い渡された山南との「格子戸の別れ」

さて、脱走の罪で切腹を言い渡された山南敬助は、壬生前川家の一室で控えていました。

そこへ明里が駆け付け、山南の名を呼びながら前川家の出窓を叩きました。山南が顔を出すと明里は格子を掴んで泣き崩れ、人が来て明里を連れ去ろうとするまでの間、2人は20~30分ほど言葉を交わします。

その後、連れ去られそうになっても格子を掴んだまま離れようとしない明里を見ていた山南は、そのまま障子を閉じ、ほどなくして切腹してしまうのでした。

「幕末のロミオとジュリエット」のような、実に切ない別れのシーンですね。

「格子戸の別れ」のエピソードが登場する『新選組遺聞』は、実際に新選組が屯所としていた八木家の子息である八木為三郎の証言を元に書かれたものです。

しかし、山南と同じ新選組幹部だった永倉新八や山崎丞の書き残した記録には、明里に関する記述は何もありません。

そのため、そもそもその存在自体が創作ではないかという説もあるくらい、明里という人物は実にミステリアスな女性なのです。

参考サイト:大河ドラマ「新選組!」のツボ

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