人間の関節の一部にサンショウウオのような再生能力が備わっていることが明らかに(米研究) (2/3ページ)
またタンパク質の数値は、マイクロRNA(miRNA)のレベルとも一致していた。この分子は軟骨の回復プロセスを制御しており、やはりサンショウウオやゼブラフィッシュのような自己修復能力を持つ動物においてより活発なものなのだそうだ。
論文の筆頭著者であるシュエ・ミンフェン博士は、「サンショウウオの手足の再生制御機構が、人間の手足の関節組織修復のコントローラーでもあるらしいことを知って興奮しました」とコメントする。
研究グループでは、この機能のことを「内部サンショウウオ能力(inner salamaner capacity)」と呼んでいる。
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・再生能力が怪我や関節炎の治療に応用できる可能性
この内部サンショウウオ能力をうまく利用すれば、人間の怪我の治療にも役立てられる可能性がある。
「サンショウウオにはあって、人間は失くしてしまった調整機構の要素を解明できれば、その欠けている要素を補うことで、手足の部分的な、それどころか完全な再生すらできるようになるかもしれません」とヴァージニア・バイヤーズ・クラウス博士は説明する。
miRNAに化合物を混ぜて標的薬を作るというのは、登場したばかりの新しい研究分野だ。
今回発見された人体に隠されている再生応力をアップさせるために使うべき化合物はまだはっきりしない。それでも、その解明が進めば、たとえば変形性関節炎のような軟骨の劣化によって生じる関節炎の治療薬を開発できるかもしれないとのことだ。