吾妻ひでお先生の漫画:杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載112 (1/3ページ)

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吾妻ひでお先生の漫画:杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載112

軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!
杉作J太狼XE先生の「男の偏差値がぐんとアップする美しさ勉強講座」

112時限目・吾妻ひでお先生の漫画

 吾妻ひでお先生が亡くなった。

 吾妻ひでお先生の漫画『チョコレートデリンジャー』の映画を2007年の秋から作っていた。間に合わなかった。どれだけ言葉を並べても追いつかないぐらい悔しい。いずれ完成するはずだ。完成を目指しているのだから。

 漫画も現在は細分化している。いろんな漫画がある。どんな漫画でも頑張れば面白くなる可能性がある。あらゆる漫画がある。今後、もっといろんな漫画が出てくるだろう。

 吾妻ひでお先生の漫画はそのあらゆる方向性のなかで、最もポップな漫画だったと思う。

 絵柄も最高にポップで、登場人物も最高にポップだった。

 それでいて内容は哲学的だったり本格SFだったり性倒錯だったり幻想的だった。つまりは難解でもあった。難解でも、と書いたのは難解でないこともあるからだ。その理解度の出し入れがポップだった。

 ポップ、という言葉をどう捉えるか人それぞれかもしれないが、私の考えでは大衆的で明るいということだ。

 世界的に流通しているキャラクターに負けていないと思う。ディズニーではないがユニバーサルのキャラクターは近い。ムーミンやスヌーピーも近い。近いというかそれぞれ負けていない。

 吾妻ひでお先生以後、最初からそこを狙った漫画家が登場したのが1980年代のはじめだ。本人の指向か編集者の指向かともかく見るだけでテンションが下がった。

 吾妻ひでお先生の漫画は真逆である。

 テンションが上がる。

 たのしくなる。

 こころが満ち足りていく。

 寂しい内容でも、悲しい内容でも、こころが満ち足りていく。喜怒哀楽はすべて等価値だと思える世界がそこにある。生きるということはそこだと思う。

 吾妻ひでお先生だけがそこを描いていたと思っている。

 追記。

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