ビートたけしの名言集「台風直撃日にタップの稽古場で2人きり」 (1/2ページ)

アサ芸プラス

ビートたけしの名言集「台風直撃日にタップの稽古場で2人きり」

 台風が猛威を振るい、都内の電車は「地下鉄以外全部運休」な状態に陥った土曜の午後6時、わたくしは地下鉄を乗り継ぎ、赤坂にあるテレビ局へ向かっていました。そんな道中にふと〈そういえば昔、台風の日に昼から夜まで丸1日、稽古場にて殿と2人きりでタップの稽古をして、緊張とタップの疲労とで、信じられないほどクタクタになったことあったな〉と、忘れていた思い出がフラッシュバックしたのです。

 あれは17年程前、まだわたくしが殿の付き人についていた頃のこと。その日は北野映画の撮影が都内であったのですが、台風の影響で、朝6時には早々と撮影中止が決まり、殿は珍しく完全にオフとなりました。

 で、殿がオフなら付き人のわたくしも当然オフ。降ってわいた突然の休みに〈ゆっくり寝て、昼過ぎから映画でも見に行くか〉と、すぐ横になり、じっくり睡眠を堪能し、午前11時過ぎに目が覚めました。で、ぼーっとしていると、殿の運転手を務める後輩から携帯に着信が入ったのです。

「お疲れさまです。北郷さん、殿より伝言で、今日昼1時から、タップの稽古やりますとのことです(当時、軍団の若手はほぼ毎日、殿とタップの稽古をやりだした時期でした)」

「え~! 今日、稽古あるの? いや~今日はちょっと用事があるからな。まいったな~(ウソです。ただ、さぼりたいだけでした)」

「そうですか。でも殿が、『北郷のヤツはどうせ暇だから来んだろ』と、言ってましたよ」

「え~~、じゃーとりあえず行くわ」

 この時、電話を切ってまず思ったのは〈いつもは殿の仕事終わりの18時あたりからやる稽古を13時からやるとなると、今日はいったい何時間タップの稽古をするんだ?〉です。

 で、時間となり稽古場へと向かうと、稽古場の駐車場には、すでに殿のロールスロイスが! 〈うわっ!殿はもう稽古場に入っている〉と慌てふためき地下にある部屋へと降りドアを開けると、殿はすでに白のTシャツにグレーのスウェットパンツ姿で、カタカタカタと小気味よくタップを鳴らし、いつものように稽古を開始しているではありませんか。

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