安倍内閣に騙されるな! 悪の「全世代型社会保障改革」の全貌

日刊大衆

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 閣僚の失言や辞任が相次ぎ、迷走状態にある安倍政権。しかし当の安倍晋三首相に、反省の色はいま一つ見えない。「それどころか、政府による“世紀の悪だくみ”が進行中なんです」(野党議員)

 それが「全世代型社会保障改革」だという。すでに9月20日には、安倍首相出席の下、第1回目の検討会議を開催。政府は、すでに本格的に動き出している。では、この「全世代型社会保障」とはいったい、どんなものなのか?

「少子高齢化の現在、これまで高齢者中心だった社会保障政策を、若い世代にまで広げようというものです。“全世代型”というと聞こえはいいですが、要は高齢者にも負担をさせようということ。“高齢者切り捨て政策”ともいわれています」(全国紙政治部記者)

 すでに、その第一歩として消費税が10%にアップされ、その財源で幼児保育・教育の無償化がスタート。来年4月からは高等教育の無償化も始まる。「無償化になっても、保育士不足や待機児童などの諸問題が解決されるわけではない。結局は“高齢者切り捨て”のカモフラージュ」(政治ジャーナリスト)

 ただし、630万人ともいわれる団塊の世代は5年後の2024年には、すべて75歳以上(後期高齢者)に。社会保障費の急増は避けられず、「2025年問題」とも呼ばれている。「そうなると、日本の社会保障全般が破綻しかねません。その前に、高齢者福祉に関わる予算をカットできる仕組みを作っておきたいというわけです」(前同)

 一部報道によると、安倍首相が政権復帰して5年間で、すでに医療・介護・年金・生活保護の分野で多くの予算がカット。合計6兆5000億円も国民の負担が増えているという。「今後さらに負担が増えるようなら、将来的に多くの庶民が安倍内閣の犠牲になりかねない」(同)

 そんな政権の“悪だくみ”から身を守るテクニック、それはなんといっても「敵を知ること」。それこそが、自分が損をしないための手段とも言えるだろう。ここから、さらに「全世代型社会保障改革」の問題点を深く追及する。

 経済アナリストの森永卓郎氏は、今回の改革の問題点を「死ぬまで働けという“国家総動員政策”にあると考えています」と語る。

 それを象徴しているのが「年金の繰り下げ受給を75歳まで拡大する」というプランだ。
「現在の年金の受給開始年齢は65歳。加えて60歳からの繰り上げと70歳からの繰り下げ受給も選択可能です。繰り上げ受給では年金額が減額される一方、繰り下げると増額されます」(全国紙社会部記者)

 現行の制度では70歳まで繰り下げた場合、年金額は42%増える。つまり、年間100万円の年金なら、5年間受給を遅らせると142万円となるわけだ。82歳以上の寿命を全うしたら、65歳から受け取るケースより、総額でもらえる年金額は多くなる。人生100年時代といわれる今、これまで『週刊大衆』でも繰り下げ受給を薦めてきた。しかも、安倍内閣が検討しているプランでは、繰り下げ受給の開始年齢の上限を75歳へ引き上げ、受給額を最大で84%増額するという大盤振る舞い。年金の受け取りを10年間遅らせたら、ほぼ2倍の額がもらえることになる。

 しかし森永氏は、そこに落とし穴があると指摘する。「公的年金が8割も増える。そんな夢のような数字が新聞に躍りましたが、定年から75歳まで無年金で耐えられる人は、ほとんどいない。現在でも繰り下げ受給を選んでいる人の割合は1%に過ぎません。さらに、男性の健康寿命は72歳。介護施設に入ってから高い年金をもらってもしかたがないじゃありませんか」

 これでは「国民をできるだけ働かせ、年金額をカットしようとする政策」(前出の野党議員)と受け取られても不思議はない。

■働くほど年金カット!

 年金に関してはもう一つ、政府が進めている「在職老齢年金の見直し」にも大きな注意がある。在職老齢年金とは、働きながら年金を受給している高齢者の年金額がカットされる制度のことだ。

「つまり、現行の制度では、働きながら年金をもらう人は、働けば働くほど年金がカットされることになり、働く意欲が損なわれかねないんです」(年金問題に詳しいファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏)

 ただ、これでは、国民にはできるだけ働いてもらい、老後はそれぞれに頑張ってもらおうという政府の目論見が崩れてしまう。そこで政府は現行の制度を見直すことを検討。年金カットの基準となる収入額を引き上げ、年金が減らないように動いている。

「ただ、65歳以上で年金と給与を合わせて、月62万円を稼げるのは経営者や会社役員くらい。多くの国民は関係ありません。逆に、高所得者層にとってはカットされる年金額が縮小される結果となり、金持ち優遇政策とも言えます」(長尾氏)

 加えて、政府はさらなる悪だくみをしているという。「昭和30年代、男性の平均寿命が65歳だった時代には、定年は55歳でした。つまり、退職後の10年が老後という考え方です。それが、今では定年が60歳(65歳まで再雇用あり)で5年延びたのに比べ、平均寿命は80歳と15年延びました」(前同)

 つまり「退職後の10年が老後」を基準に考えると、年金の受給開始年齢はあと5年遅らせることができる。「今後、10年以内に受給年齢が70歳へ変更される可能性は否めません」(同)

 しかも、年金の給付水準は低下の一途をたどるという。政府は「現役世代の手取り収入の5割死守」を明言しているが、どうやら裏切られることになりそうだ。

「現在の年金給付水準は約6割。つまり年金受給者は、働いている世代(現役世代)の平均年収(手取り収入額)の6割分の年金を受け取っています」(経済ライター)ところが、仮に年金受給開始年齢が70歳へ変更されなくとも、現在40歳の人が65歳に達する25年後には、「給付水準が4割以下、その時の現役世代の35%〜37%に低下している恐れがある」(前同)というのだ。

 さらに、物価や賃金上昇時に年金受給額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」の活用の他、「パートで働く主婦を厚生年金に加入させ、主婦から掛け金を巻き上げようとしている」(野党議員)という動きまである。

 “高齢者切り捨て”の社会が迫っている。この続きは現在発売中の『週刊大衆』11月25日号で。

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