本好きのリビドー (3/3ページ)
――写真を撮るのではなく、ミニチュアを作ろうとしたのはなぜですか?
小島 写真だとあまりにも“リアル”すぎて、目を逸らせたり、気持ち悪くなってしまう人も出てくるでしょう。何より遺族が晒し者にされている気分になってしまうかもしれません。でも、平和な日本でも孤独死が現実に起こっていること、他人事ではないと知ってもらいたいと考えた時に思いついたのが“ミニチュア”でした。
制作スキルは完全に自己流です。YouTubeの制作動画も参考にしています。納得がいくまで作り直すので、制作費は一作品数万円掛かりますが、私が器用だったらもう少し安価にできたかもしれません。
――今までにどんな現場を制作したのですか?
小島 孤独死、ゴミ屋敷、自殺とそれぞれ伝えたいテーマのものを9点ほど作りました。特に冬場、お風呂でヒートショックで亡くなる方の現場は印象に残っていて、湯船には人の皮膚が必ず付着しています(ミニチュアにも黒く変色した皮膚を再現してあります)。目を覆うような現場も多いですが、だからこそ危機感を持ってもらうため、このミニチュア達に特徴を凝縮して再現しています。
――そんな過酷な仕事を5年間続けているそうですね。辞めたいと思ったことは?
小島 何度もありますよ。しかしそれは、特殊清掃がつらいからではなく、自分が成長できずにいる時です。とはいえ人の裏の顔を見る仕事なので、かなり体力と精神力は削られます。
――孤独死は社会問題にもなっています。本書を通してどんなことを伝えたいですか?
小島 どんなに有名でも、どんなに偉い人でも“死”はやってきます。死なない特別な人はいません。だからこそ、人ごとではなく自分のことのように孤独死に対して危機感を持っていただきたい。そして、悔いが残らないように毎日をすごしてほしいと思います。
_(聞き手/程原ケン)
小島美羽(こじま・みわ)
1992年8月17日、埼玉県生まれ。’14年より遺品整理クリーンサービスに所属し、遺品整理やごみ屋敷の清掃、孤独死の特殊清掃に従事する。孤独死の現場を再現したミニチュアを’16年から独学で制作開始し、国内外のメディアやSNSで話題となる。