黒いカネの流れ、中国への接近…異例づくしの教皇フランシスコが挑む改革とは (2/3ページ)
また、カトリック教会の総本山であるバチカン市国の金融機関であるバチカン銀行は金銭的なスキャンダルが少なくなく、2012年にはフォーブス誌から「世界で最も透明性の低い銀行」と呼ばれた。
フランシスコは大きな危機感を抱いていたのだろう。教皇就任直後からカトリック教会の問題に対していくつも手をのばし、強硬的な態度で改革を進めている。
しかし、2013年の就任以後、高い評価を得てきたものの、あまりの強硬的な改革路線に進むあまり、支持層と反対派の亀裂を招き、問題拡大の混乱を招いているのも事実だ。
長年、ローマ特派員としてバチカンを取材してきたジャーナリストによる著書『悩めるローマ法王 フランシスコの改革』(秦野るり子著、中央公論新社刊)から、フランシスコの改革の一端を見てみよう。
■バチカン銀行に流れる”黒いカネ”前述の通り「世界で最も透明性の低い銀行」と呼ばれたバチカン銀行。その問題は何十年も以前から続いてきたものだ。
バチカン銀行は顧客情報の機密保持の強さや利子に税金がかからないという魅力から、脱税やマネーロンダリングで利用されることも多く、その口座を持つ顧客にはマフィアやイタリア秘密結社p2も紛れ込んでいたという。1990年には口座開設の条件が緩められ、さらにこの傾向が強まった。
そんな黒いカネの流れが見え隠れするバチカン銀行にメスを入れようとしたのが、先代教皇のベネディクト16世だった。バチカンの信頼を取り戻すべく銀行改革に乗り出したが、「機密性を保つことが、バチカンが主権国家たる証」と内部からの反発も大きく、中途半端なままで教皇の座を退位した。
その跡を継いだフランシスコも就任間もなく銀行改革に乗り出したが、「(銀行を)閉鎖することもありえる」とまで述べる強硬姿勢は注目すべきポイントだろう。
バチカンと関係の深いイタリアではなく、アメリカのコンサルティング企業との契約を結び、口座の洗い出しと本来は口座保有資格がない口座の閉鎖を進めているほか、透明性のアピールからバランスシートの公表に踏み切った。