『きのう何食べた?』『俺の話は長い』飯テロドラマが増えたウラ事情
テレビ東京が、年末年始に3夜連続で“美食晩餐会”と題したスペシャルドラマを放送すると発表した。大みそかは松重豊主演の『孤独のグルメ』、元日は西島秀俊と内野聖陽ダブル主演の『きのう何食べた?』、2日は高畑充希主演の『忘却のサチコ』で、いずれも“食”をテーマにした内容のドラマだ。
その中でも『孤独のグルメ』は、今ではすっかりおなじみの“飯テロ”という言葉を普及させた、松重が食事をするシーンが人気のドラマだ。また、『きのう何食べた?』では、西島と内野の調理シーンが人気で、ドラマに登場した料理のレシピ本は10万部を突破した。
『孤独のグルメ』が成功したこともあって、今ではいろいろなグルメドラマが作られている。さらに、“食”をテーマにした内容ではなくても、食事や調理の描写に力が入ったドラマも増えている。現在放送中の秋ドラマの中で、グルメドラマではないのに、“飯テロ”だと話題になっているのが、福士蒼汰主演の『4分間のマリーゴールド』(TBS系)だ。
このドラマは人の死を予知する能力を持つ救急救命士の花巻みこと(福士蒼汰)と、余命1年の義姉・沙羅(菜々緒)のラブストーリーなのだが、きょうだいの食事シーンが好評だ。料理は高校生の義弟・藍(横浜流星)の手作りで、サバのみそ煮や肉じゃがなど家庭的なものが多く、「明日の献立の参考になる」などの声が寄せられている。
また、生田斗真主演の『俺の話は長い』(日本テレビ系)でも、家族が食卓を囲むシーンが何度も登場。無職でニートの主人公・満(生田斗真)と母親、姉、義兄、姪がひとつ屋根の下に暮らすホームコメディで、料理に箸を伸ばしながら口げんかを展開させる、家族の会話劇が面白いと話題になっている。
この家族には、ときおり高級食材が舞い込んできて、高級和牛肉のすき焼きや、毛ガニ入りの雑炊などが、視聴者の食欲を刺激しているが、満の食へのこだわりも人気だ。特に第2話で作ったソース焼きそばは、仕上げに水で溶いたカレー粉を入れるという小技が注目を浴び、放送後、マネをして料理を作った人が続出したようだ。
■『凪のお暇』に『監察医朝顔』も飯テロ!
また、夏ドラマでも、黒木華主演の『凪のお暇』(TBS系)が、ツナ缶にマヨネーズとスライスチーズを入れてバーナーで焼き、トーストにのせたツナトーストや、フライパンで焼いて作った7種の具材入りちぎりパンなどの節約レシピが人気に。上野樹里主演の『監察医 朝顔』(フジテレビ系)も、シリアスな医療ドラマでありながら食事シーンが多く、地味に“飯テロ”してくると話題になっていた。
グルメドラマでもないのに食事や調理シーンが印象に残るドラマが増えたのは、凝った演出をするよりおいしそうな料理を出しておいたほうが、視聴者の目を奪える、という制作側の計算があるのだろう。身も蓋もない言い方かもしれないが、人は食欲には勝てないものだ。
また、かつて人気ドラマの定番だった恋愛ドラマが、『テラスハウス』や『バチェラー』など恋愛系リアリティ番組に視聴者を奪われてしまったことが背景にあるようだ。そこで、恋愛より家族や人間関係をテーマにする作品が増え、人間模様を描写するための象徴として、食事や調理シーンが増えてきたというのもあるだろう。
さまざまな事情があるとはいえ、今では飯テロシーンはドラマには欠かせない要素だ。これからも魅力的な料理で、我々のお腹をぐぅぐぅ言わせてほしい。