電池革命。従来のリチウムイオン電池の2倍のエネルギー密度を実現する固体電池が開発される(オーストラリア研究) (2/3ページ)
この熱に弱いという弱点は、リチウムイオン電池のエネルギー密度を高めたり、急速充電を行ううえで障害となったきた。本格的な電気自動車や電気飛行機、携帯デバイスといった次世代アイテムの発展を邪魔してきたボトルネックだったのだ。
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・既存のポリマーを利用した固体電解質
今回、チェン・ファンファン博士とワン・シャオエン博士らが開発したのは、これまで電解液として利用されてきた揮発性溶液のかわりに、リチウムイオンに弱く結合した固体ポリマー素材を利用した固体電解質だ。
温度が上がっても燃えたりはしないので、従来のリチウムイオン電池の2倍ものエネルギー密度を実現することができる。
現在、商用利用されているリチウムイオン電池は最大でも250Wh/kg(テスラ、モデル3のバッテリー)程度だとされている。
しかし新開発の固体ポリマー電解質なら500Wh/kgが可能で、電池の小型化、軽量化、低コスト化を図れるようになるという。人々が期待するような10倍もの性能アップとはいかないが、それでも非常に大きなステップだ。
また一般に流通するポリマーしか使わないので、大量生産を行うのもそれほど難しくはないというメリットもある。