世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第348回補正予算と総定員法 (2/3ページ)
そもそも、世耕氏や二階氏が主張する補正予算10兆円がすべて「投資」であったと仮定して(実際には違う)、その「程度」の規模では日本のデフレギャップは埋まらず、さらには国民の防災安全保障強化は不可能だ。来年もまた、自然災害で国民が死に、財産を失うことになる。
それどころか、付け焼き刃的な補正予算では、「10兆円“も”カネを使ったのに、デフレ脱却はできないし、自然災害も防げない。財政出動はムダだ」、「せっかく10兆円もの補正予算を組んだにも関わらず、予想通り人手不足で消化しきれなかった。財政出動はムダだ」といった、緊縮財政のレトリックに活用されかねないのだ。
正しい財政出動は、規模に加えて「長期予算」でなければならない。あるいは、せめて「長期計画」が必要だ。長期で予算規模が増えていくことがコミットされて初めて、土木・建設業などは供給能力の強化(正しくは「回復」)に乗り出す。
長期計画に基づき、土木や建設業、あるいは「防災サービス」の供給能力が拡大していけば、今はもちろん、将来の国民も救われることになる。
「短期的な補正予算」と、「政府に財政的な予算制約がないという前提に基づく、長期的な供給能力回復を伴う財政の継続的な拡大」の間の隔たり、あるいは壁が大きく越えられない。
やはり、MMT(現代貨幣理論)が説明した「貨幣の真実」が広く共有されるパラダイム・シフトが必要なのであろう。
ところで、安倍総理は、いわゆる「就職氷河期」世代への支援策として、「国みずからが積極的に動くという観点から、国家公務員の中途採用を今年度から具体的に取り組んでいく」と発言した。
もちろん、筆者は氷河期世代(のみならず)を公務員採用していくことには賛成だ。日本の公務員対労働人口比率は、世界最低レベル。その状況で、国民のルサンチマンがあおられ、「公務員を減らせ!」、「公務員給料を減らせ!」との世論が高まり、緊縮財政が進められ、パソナを代表株とする人材派遣会社がボロ儲けをしている。今や、地方自治体の公務員の3分の1が非正規。官が自ら、所得格差を拡大する、狂った共同体が我が国だ。