20歳、深夜2時、ハネケの『ファニーゲーム』。長久允の #わたしをつくった映画 (2/3ページ)

学生の窓口

(今はヴィレヴァンになりました。)TSUTAYAでジャケ借りしたDVDを適当に観たのです。(やっぱりジャケ借りして巡り会うことこそが運命ですよね、人生において。ま、おいといて。)で、それがこれらです。

ミヒャエルハネケ『ファニーゲーム』、北野武『3-4x10月』、寺山修司『田園に死す』、川島雄三『しとやかな獣』、相米慎二『台風クラブ』、ガスヴァンサント『エレファント』、リチャードリンクレイター『ウェイキングライフ』、原一男『ゆきゆきて、神軍』、ルネラルーのいろいろ、シュヴァンクマイエルのいろいろ、ホドロフスキーのいろいろ。

見終わって、朝4時になるころには目が倍くらいに開いていました。開眼ってやつです。ベタなラインナップではあるんだけど、そこから「俺も映画を作りたい!」となり、深掘りが始まり、大学と同時に、せっせとキャバクラのボーイのバイトやティッシュ配りで稼いだお金で専門学校に入学するわけです。

だけど、映画を諦めました。

たくさん映像作ったんですけどね。「ぴあ」とか、何にも引っかからないわけです。悲しかったです。でも僕にとってはベストな映像表現していたつもりなんですけどね。で、二度目の夢を諦めての就職。
そこから10年ちょい、無表情で働きました。

でもやっぱり映画が作りたかった。

僕にとって就職してからの十何年間は冷凍庫で凍ってただけって感じでした。つまり、まだ20歳のままだった(いや30歳なんだけど)。で、そうして僕は映画をもう一度だけ撮ってみました。死ぬときに後悔しないように誰の目も気にせずに20歳の頃の自分に、嘘だけはつかないように心がけて。そのときの短編映画がサンダンス映画祭に引っかかり、なんとかいまに至っています。

だから20歳の頃に摂取した映画は、はまだ昨日食べたものって感じ。冷凍庫に入ってたから、まだ体に栄養が残ってる。
僕の映画も、20歳の誰かと深夜2時に運命的に巡り会ってもらえたらいいなと思う。ジャケ借りしてね。

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