功徳を積んだら地獄行き!?「我地獄に入らざれば…」禅を極めた趙州和尚の言葉が深い (3/4ページ)
「和尚様のように功徳を積まれた方がそんな境遇なら、私ども凡俗は一体どうなってしまうのですか!和尚様は亡くなったら、極楽浄土へいらっしゃるのでしょう?」
檀家の顔色などいっかな構わず、趙州和尚は鼻で笑って答えます。
「そんなもの、地獄行きに決まっておろうが」
功徳を積めば(地獄ではなく)極楽浄土に行けて、来世も(万物の霊長と信じる)人間に生まれて来られる……そんな期待に仏の教えを信じる檀家にとって、これほど絶望的な宣告はありません。
「そんなバカな!和尚様ほどの方が地獄に行くとしたら、私たちはいったい何を希望とすればよいのですか?!」
死後、自分が「極楽浄土に行けるか、地獄に堕とされるか」が現代とは比較にならないほど死活問題だった時代ですから、檀家の嘆き悲しみようは尋常ならざるものだった事でしょう。
ほぼ半狂乱にすがりつく檀家に、趙州和尚は微笑を湛(たた)えて答えました。
「……わしが地獄へ行かなんだら、誰がそなたを救うんじゃ」
【原文】我地獄に入らざれば誰か地獄に入らん
その静かな声と穏やかな表情に秘められた済度(さいど。