タワーマンションの弱点も!?「死を招く家」超危険スポット

日刊大衆

写真はイメージです
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 心が休まるはずの自宅に衝撃事実が! 年間約1万5000人が命を落とす住居の中で、確認すべき要件とは!?

「死を招く家」――まるでホラー映画のようなタイトルだが、毎日41人の人が自分の家で不慮の死を遂げているという事実をご存じだろうか。この衝撃的なデータは、平成30年の「人口動態統計」に基づき、“1年間で、およそ1万5000人が家で不慮の死を遂げている”という事実から弾き出した数字だ。最も安全であるはずの家で、これだけの人が亡くなっているのだ。いったい、何が原因で命を落としているのか。

 まず思い浮かぶのが災害。地震や火災・水害で被害に遭いやすい家、そうでない家があるのだろうか。立地や建物の構造などによって差が生じると解説するのは、不動産アナリストの榊淳司氏だ。「まずは、液状化現象です。東日本大震災では、埋め立て地で液状化現象による被害が深刻化しました。ところが、マンションは深いところまで基礎工事がなされているので、被害がほとんど出ませんでした」

 つまり、一軒家かマンションか、さらにはアパートかで被害状況が変わるというのだ。

 今年10月に発生した台風19号に伴う水害では、タワーマンションの弱点が露呈した。タワマンの電気系統は地下に配置されるのが一般的。神奈川県の武蔵小杉駅周辺のタワマンでは、浸水で配電盤が壊れ、電力を供給できなくなった。エレベーターのみならず、電気が供給できずに排水用ポンプが停止。さらに水道を各戸まで汲み上げることもできず、トイレで排泄物さえ流せない機能不全の状態が長期間続いた。こうして“災害に強い”が売り物のタワマンの安全神話が、一気に崩れてしまったのだ。その原因は“内水氾濫”にあるという。「緊急時には、マンション内の下水と雨水をまとめて多摩川に流すシステムでしたが、異常なほど水かさが増し、それらがマンションに逆流してきたんです。水かさが増して逆流すれば、タワマンならずとも、どこでも起こる現象と言えます」(前出の榊氏)

 しかし、武蔵小杉のように、近くに一級河川が流れるエリアの家がすべて危険かというと、そうでもない。台風19号の際、海抜ゼロメートル地帯といわれる東京の下町5区(江戸川区・墨田区・足立区ほか)では水害が発生しなかった。「利根川・荒川水系はダム・貯水池・堤防などの治水施設への政府予算が、日本では一番使われているエリアだからです。戦後からずっと一貫していて、それが功を奏したと思われます。ところが多摩川などは、上流に大きなダムを増設することができず、堤防処理だけだったために、あれだけの水かさになってしまったんでしょう」(前同)

■築1年以内の新築マンションは危ない

 住んでいる家の危険度についての判断は、防災面のみならず、防犯面にも留意したいところだ。 最近では、親族を騙って資産状況を聞き出してから押し入る「アポ電強盗」なども横行。手口は巧妙で荒っぽくなり、強盗犯に殺害される危険性も増している。

「古いマンションの中には、1階のバルコニーなどへ簡単に出入りできる造りになっている建物もあります。これは要注意です」(同)

 一方、セキュリティがしっかりしている新築マンションにも落とし穴があるという。意外なことに、中でも危ないのが築1年以内の新築マンションだ。というのも、新築物件は新興住宅街に立地するケースが多く、建築中の建物が密集している場合もある。当然、工事業者らの出入りも激しく、強盗犯がウロウロしていても怪しまれないからだという。

 しかし、死を招く危険因子は建物の立地や構造などばかりではない。家の中のちょっとしたところにも、危険が潜んでいるのだ。たとえば、火災の原因として、タコ足配線やコンセントのほこり、電気コードを折り曲げて使うことによってコードが断線、スパークが発生し、火災の原因になることがあるという。

 家具も、いつ凶器と化すか分からない。阪神大震災を経験した男性(61)は、「突き上げるような揺れが起き、家具がまるで生き物のように飛びかかってきた」という恐怖体験を語っている。

 さらに危ないのが段差だ。家の中には、玄関の他、廊下とリビング、和室と廊下の間など、至る所に段差がある。それに気づかず転倒して骨折するだけならまだしも、骨折がもとで不慮の死を遂げるケースが意外に多いのだ。前述した「人口動態統計」で、家の中で不慮の死を遂げた理由として最も多いのが転倒事故など。

■転倒して骨折、寝たきりに

 特に危ないのが、65歳以上の高齢者だという。高齢者の場合、転倒事故の8割近くが自宅で起きているといわれる。高円寺整形外科の大村文敏院長が、こう語る。

「怖いのは、転倒して骨折してしまい、それが引き金となって寝たきりになってしまうことです。転倒して大腿骨を骨折すると、手術しても1年以内に1~2割の人が死亡し、2年たつと3割までが死亡するというデータがあります。脳梗塞や心筋梗塞の手術後の数字よりも、死亡率が高いといわれているんです」

 まさか骨折が原因で死ぬことになるとは夢にも思っていないだろうが、これもまた現実なのだ。「寝たきりになって肺炎や腎炎を併発し、あるいは床ずれによる感染症が死に至らしめるわけです。高齢者が寝たきりになる理由としては、骨折や関節(ひざ)疾患の運動機能障害が25%で、ダントツです」(前同)

 都内で介護老人保健施設の施設長を務める新潟大学名誉教授の岡田正彦氏も、こう語る。

「とにかく入居者に骨折させないよう、スタッフ一同、細心の注意を払っています。まず高齢者になると、反射神経が鈍くなり、筋力が低下して、ほんのわずかな段差でも転倒してしまいます。一方、ここ70年で日本人の寿命が大幅に伸びましたが、骨と脳の遺伝子が寿命の伸びに追いついていない現実があります。つまり、それだけ骨粗しょう症や認知症の患者が増えているわけです」

 高齢者の場合、転倒しやすく、骨折もしやすいのだ。前述した通り、寝たきりになって、肺炎・腎炎・感染症を引き起こすほか、岡田氏によると、「認知症になるリスクが高まります。寝たきりで何もできない状態が認知症を誘発しやすくなるんです」と言う。

■布団は危険なもの!

 死を招く段差の他、家の中には転倒につながる危険因子ばかり。カーペットやキッチンマットのわずかな捲れや、ベッドの脇に脱ぎ捨てたままの衣類、床を這う電気コードなども“凶器”になるという。中でも、盲点になっているのが布団だ。「夜間の転倒を含めると、実は、家の中の転倒事故の8割までが布団につまづくケースです。寝起きにフラリと立ち上がって布団でつまづいたり、夜間にトイレに行くときにつまづいたりと、布団は危険なものだということをまず認識すべきですね」(前出の大村院長)

 また、冬場には「浴室と脱衣場」「リビングとトイレ」の温度差からヒートショックを引き起こして血管に負担がかかり、心筋梗塞で突然死するケースも増えてくる。その浴室とトイレで言うと、「浴槽が深く、洗い場に出ようとして滑り、浴槽のフチで頭を強打した」(55歳男性)、「父が便座から立ち上がろうとして昏倒。しばらくして気づいたが、トイレのドアが内開きだったために担ぎ出そうにも、できなかった」(44歳男性)などの事例もある。

 寝室・浴室・トイレ……その危険にどう立ち向かうべきなのか。「わずかな段差でも転倒する恐れがあるので、まずは障害になるようなものを置かないこと。カーペットも、その一つ。部屋はフローリングにしておくのが原則です」(岡田氏)

 大村院長も、こう続ける。「先ほど話したように布団は危険なものですので、ベッド生活に改めること。足回りもすっきりするし、介助する人もやりやすい。寝心地なども良くなります。次いで、階段・風呂・トイレには手すりをつけることです」

 65歳以上の高齢者がいれば、介護の要不要にかかわらず、自治体の補助などで、20万円相当の手すり取りつけ工事が1割負担の2万円で可能になるケースもあるという。リフォームを取り扱う工務店社長が解説する。「階段やトイレの手すり工事は大人気です。次いで、浴室工事の依頼も多いですね。脱衣所と洗い場への段差解消や、深くて狭い和風風呂から浅くて広い浴槽に切り替える工事などです」

 まずはリフォームなど、できるところから少しずつ始める必要があるだろう。家庭の中で“不測の事態”が起きる可能性を減らし、できるだけ健康な日々を送りたいものだ。

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