トイレで時間つぶしは通じない。従業員の生産性を高めるため、座るのが不快になるよう設計されたトイレ(イギリス)

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トイレで時間つぶしは通じない。従業員の生産性を高めるため、座るのが不快になるよう設計されたトイレ(イギリス)
トイレで時間つぶしは通じない。従業員の生産性を高めるため、座るのが不快になるよう設計されたトイレ(イギリス)

Alexas_Fotos/pixabay

 会社で仕事をしていると、トイレ休憩はちょっとした息抜きの時間となる。一人で個室にこもれるトイレは気持ちを切り替えるのに有効だが、最近ではトイレに座りながらSNSをチェックする人も多くなったという。

 従業員が順番にトイレに行き、長時間居座っていたら業務にも支障をきたすかもしれない。そこでイギリスのスタートアップ企業は、「従業員が座って不快になるようデザインされたトイレ」の開発に挑んだ。

 このトイレ、微妙な前下がりの便座により5分以上座っていると脚の筋肉が緊張してしまい、早々に個室から辞去したくなるという。
・従業員のトイレ休憩は企業に多額の損害を引き起こしている!?

 イギリスのスタッフォードシャーにあるスタートアップ企業『Standard Toilet』は、従来のトイレとはちょっと異なるデザインのトイレを開発・製品化させた。

 同社サイトによると、従業員のトイレ休憩時間の延長が、英国内だけで産業・商業を含む企業全体に、年間40億ポンド(約5700億円)の損失を引き起こすというのだ。

 16世紀から存在している便器のデザインは、その発明以来さほど変化はしていないが、現代ではこのトイレの便座に腰を落ち着かせ、「トイレ休憩」と称してSNSに夢中になる従業員が絶えず、企業のトイレはすっかりそのための個人スペースとなってしまっている。

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 2019年7月に英国8つの都市で実施された調査では、仕事中最大28分間をトイレで過ごす人がいることがわかったという。

 ロンドンのオフィスでのトイレ休憩で、従業員ひとりが28分も個室に籠っているとなれば、企業は1週間で従業員1人につき最大2時間半の労働時間を失うことになり、ロンドンの最高時給12.78ポンド(約1800円)で計算した場合、企業側は年間1人当たり1533.60ポンド(約218000円)の損失を受けることになるそうだ。


・Standard Toiletの狙いとは

 Standard Toiletのサイトによると、必要以上の長いトイレ休憩時には、従業員がSNSに夢中になっていることも多いため、新デザインのトイレ導入により従業員のトイレ内でのSNS使用を削減し、仕事の効率化を高めることが狙いだという。

 企業の調査では、従業員は1日平均10分をトイレで過ごしているが、Standard Toilet側は新たに開発したトイレが、使用時間を25%削減することになると見積もっている。

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 また、ショッピングモールや駅、イベント会場などでのトイレは常に混雑しており、長い行列ができることも少なくない。待ち時間を減らすためにも、トイレ使用の回転をスピーディーにする必要があるため、このトイレの導入がより効率的な結果をもたらすことになると説いている。

 更に、従来のトイレは痔や骨盤筋の衰弱を引き起こす可能性があることも示唆しており、特殊な角度を持つトイレは、健康面でのメリットも得られることを主張している。


・傾斜13度のトイレは5分以上座ると筋肉の緊張をもたらす

 Standard Toiletの開発したトイレは、着座面が前方に傾斜している。その角度は13度で、このトイレに5分以上座っていると脚の筋肉が緊張し始め、不快になる。


 そのため、使用者は早々に便座から腰を浮かし、仕事に戻るなりコーヒーを淹れるなりしてより生産的な方法に時間を費やすことができるというわけだ。

 なお、Standard Toiletは150ポンド(約21000円)~500ポンド(約71000円)とトイレ価格を設定しているが、この新製品については物議をかもしている。


・トイレ休憩は“悪”ではない

 リサーチプロジェクト「Around The Toilet」の共著者であるシャーロット・ジョーンズさんは、このように疑問の声をあげている。

勤務中に従業員がトイレを避難場所として使用することの問題は、従業員自身ではなく、不十分なワークスペースや重い作業負荷、サポートの行き届いていない管理体制にある可能性が高いといえます。

トイレで過ごす時間を悪と決めつけることは、間違っているのではないでしょうか。

 例えば、腸に慢性疾患を抱えた人など、人々がトイレで5分以上過ごす必要があるかもしれない理由は多く存在する。また、排泄以外に、トイレで1人静かな時間を過ごして回復し、仕事に戻るという人も少なくない。

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 トイレ以外にそのようなスペースが社内にある場合はまだしも、倉庫で作業をしている従業員などは、満足にトイレ休憩さえ与えられないという過酷な労働状況で勤務している。

 それらを考えた時、企業の生産性や効率性だけのために「従業員が不快に感じるトイレ」を導入するとなると、ますます労働者の権利が剥奪されるのではという懸念の声を上げる人も少なくないようだ。

 しかしStandard Toiletは、既に地方自治体や主要高速道路のサービスステーションと協議して、新デザインのトイレを各地に配布しているということだ。

References:standardtoilet.netなど / written by Scarlet / edited by parumo
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