「AIで失業者が増える」という言説に含まれる誇張とは (2/2ページ)

新刊JP

技術発展によって新しく生じた職業、つまりAIで代替できない仕事というのは、基本的に高度な知識とスキルを必要とする。たとえばAIが行ったデータ分析の結果をもとにアイデアや企画を出す仕事などだ。そして、こういうクリエイティヴィティが求められる仕事は、誰もができるわけではない。新しい仕事ができたとしても、自分にできるのは単純作業だけ、という可能性もあるわけだ。もちろん、こうした仕事は労働条件が悪いことが多い。

高い専門スキルを要する仕事は、一部の人が高収入を得るが、「その他大勢」は劣悪な環境下で働かざるを得ない。こんな未来がいつかやってくるとなると、私たちは「今のうちに付加価値の高い技術を身につけないと」という思考になりやすいが、「自分ひとりが世の中の変化に合わせて、適切なスキルで乗り換えていけば生き残れる」という考えにとらわれすぎることの危険性を本書は指摘する。

社会の変化の中で、個々人ができることは知れている。それよりも、「自分ができること」を個々人が持ち寄って、「協働」することが、未来を生き残るカギになるという。

「自分だけは」よりも「みんな一緒に」。
ではそれをどうやって実現するかがポイントだが、本書ではそのためのヒントを示している。1月は「今年の目標」のような形で近い未来について考える時期だが、もう少し遠い未来についても、本書を片手に考えてみてはいかがだろうか。

(新刊JP編集部)

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