「糖質制限」「一日30品目」は間違い!死ぬ食習慣

毎日のように、情報が更新されてゆくのが現代社会。それは我々の日々の「食」についても同じことが言える。
たとえば、粗食のススメ。「粗食こそが長寿の源」という常識について、新潟大学の岡田正彦名誉教授(医学博士)が、こう否定する。
「粗食を続けていると摂取すべきカロリーが不足し、細胞の衰えを招き、老化を早めます。逆に、しっかり食事をとっている人が長生きしています。粗食は命を縮めると考えてください」
長寿の源どころか、粗食は「死」を招くわけだから真逆の話なのだ。こんな間違いだらけの「食習慣」や「食べ物」は、まだまだある。中でも、誤解されやすい常識に焦点をあてたい。
まず、今、流行りの「糖質制限(ダイエット)は体にいい」も間違いだとか。
「糖質制限と食事制限とは違います。摂取カロリーを保ったまま、糖質だけを制限しようとすると、どうしてもタンパク質の摂取が多くなってしまいます。タンパク質の摂取が5グラム増えるごとに心筋梗塞の発症率が5%ずつ増えるというデータがあり、たとえば糖質を20グラム減らして、すべてタンパク質で補ったとすると、心筋梗塞のリスクが2割アップすることになります。糖質制限は死亡率を高めます」(岡田氏)
粗食や偏ったダイエットもいけないが、かといって「1日に30品目以上食べる」のもNG。『医者が教える食事術2実践バイブル』(ダイヤモンド社)の著書で知られる『AGE牧田クリニック』(東京都中央区)院長で医学博士の牧田善二氏が解説する。
「厚生労働省の『1日に30品目を食べる』という基準を信じている方もいると思いますが、この基準は2000年の段階で削除されています。そんなに多くの品目をとると逆に食べ過ぎになり、肥満や生活習慣病を増やすことが分かったからです」
健康志向の高まりとともに、「特定保健用食品(トクホ)」を意識して買っている人もいるだろうが、「トクホが体にいい」にも疑問符がつくという。
トクホとは、有効性・安全性などの科学的根拠を示して、国の審査のもとに消費者庁の許可を受けた食品のこと。
「ただし、科学的根拠を示す期間は12週間だけ。つまり、それ以上続けて有効性が認められるかどうかは分からないんです」(前出の岡田氏)
むしろ、逆に「害」になる場合もあるという。漢方にも詳しい薬剤師の平地治美氏が、こう続ける。
「一般の食品より副作用や飲み合わせのリスクが高く、薬を毎日服用している高齢者は、特に気をつけなければなりません。たとえば、高血圧で降圧剤を毎日服用している人の場合。血圧が高めの方向けのトクホのお茶を飲んだら、飲み合わせが悪かったという話になる可能性だってあります。副作用については体質の問題もあります。薬常用の方はトクホを飲む前に薬剤師などに相談すべきです」
■飲み物にも注意を
トクホのみならず、「野菜ジュースは健康にいい」と思い、毎朝、出勤前に飲んでいる人もいるはず。ところが、平地氏によると「野菜ジュースにはおいしく飲むために砂糖や果糖がたくさん含まれていることが多く、血糖値を急上昇させ、肥満の原因になります」という。
最近では、毎朝、野菜ジュースを飲む習慣とともに、水道水のカルキ臭を嫌い、「水道水よりミネラルウォーター」という習慣も広がっているが、医療ジャーナリストの牧潤二氏は、その習慣には否定的だ。
「水道水が水道法で51項目のチェックを受けているのに対して、ミネラルウォーターの場合、食品衛生法によるチェック項目は18しかありません。また、ミネラルウォーターには工場での生産時に一般細菌の混入の危険性があるうえ、開封後に一度で飲まずに置いておくと、雑菌が繁殖します。一方、水道水は塩素消毒のおかげで菌は繁殖しません。安全面では明らかに水道水がいいと言えます」
「食の新常識」を正しく知って健康になろう。この続きは現在発売中の『週刊大衆』2月3日号で。