史上初、原子が結合・分離する様子がリアルタイムで撮影される(独英研究)

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史上初、原子が結合・分離する様子がリアルタイムで撮影される(独英研究)
史上初、原子が結合・分離する様子がリアルタイムで撮影される(独英研究)

Juraj Lenhard from Pixabay

 この世のあらゆるものが原子同士の結合によって作られている。太陽も、地球も、もちろん私たちもそうだ。どの物質も2つの原子が結合し、物質を形成するという化学的プロセスの賜物だ。

 世界の成り立ちには必要不可欠なこのプロセスであるが、その瞬間をカメラが捉えたことはない。それは人間の髪の毛の50万分の1という極小のスケールでの出来事なのだから無理もない。

 しかし、ある国際グループがついにその撮影に成功したという。『Science Advances』(1月17日付)で発表されたそれは、原子と原子の結合をリアルタイムで捉えた史上初の動画だ。


Atoms bonding caught on camera

・2つのレニウム原子が結びつき、別れ、再び結びつく瞬間

 20秒弱の動画には、カーボンナノチューブの中を移動する2つの原子が映し出されている。

 撮影したのは、独ウルム大学と英ノッティンガム大学の研究グループ。同グループは、試験管に見立てた1~2ナノメートルのカーボンナノチューブの中に「レニウム(Re)」という原子のペアを捕捉し、透過電子顕微鏡で撮影を試みた。

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University of Nottingham

 それらはゆっくりゆっくりと歩み寄り、突然1つの塊に融合。が、やがて楕円形に歪んで跳ね回ると解離する。だが、この状態は長くは続かず、再び歩み寄ると、ついに固く結ばれた分子として落ち着いた。


・原子はエネルギー的な安定を求めて結合する

 原子は、エネルギー的に安定するために互いと結合する。単一の原子だとエネルギー的にかなり不安定だ。

 しかし結合すれば、正電荷を帯びた原子と負電荷を帯びた原子は、固有の特性を備えた分子を形成することができる。

 動画のレニウム原子のペアは、チューブ内を移動しながら結合距離を変化させている。これは周囲の環境の変化に応じて原子間の結合力も強まったり弱まったりしているということなのだが、そのために結合距離が原子の大きさを超えた瞬間、結合がパッと開裂してしまう。

 だが、すぐにまた互いに引き合い、分子を再形成する。引きつけ合い結合する力が抵抗するには大きすぎるからだ。そして、最終的にはよりエネルギー的に安定したペアの状態で落ち着く。

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University of Nottingham

 引っ付いて1つになってまた離れる。この動き、何かと似てるな。

References:Walking with atoms – chemical bond making and breaking recorded in action - University of Nottingham/ written by hiroching / edited by parumo
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