どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【一】 (3/4ページ)
光源氏をお連れしたいのですが……」
大輔の命婦は常陸宮の姫君に、事の次第を伝えました。命婦はこの屋敷に出入りしており、光源氏に姫君の話題を出したのも、それとなく経済援助を求めるためだったので、二人の仲が睦まじくなれば、それが容易になります。
「……でもね命婦、わたくし……」
今を時めく貴公子・光源氏に(まだ会ってもいないのに)見初められたとあれば、これ以上の幸運はそうあるものでもありませんが、
「……きちんとした仲人もなく殿方とお会いするなど……そんなはしたないこと……」
姫君はそう口ごもってしまうのでした。
どうもこの姫君は、やんごとなき家柄ゆえに受けた教育が極端に古めかしく、また生来のコミュ障(※3)とあって世知に疎かったようです。
(いやいや……今どき自由恋愛に仲人を立てるような人なんて、いませんから!)
ツッコミをどうにか喉元でこらえつつ、どうにか光源氏と会う約束をとりつけます。この機会を逃したら、傾いていく常陸宮家を建て直せません。
「おぉ、お会い下さるのか!」
命婦からの報せを受けた光源氏は、喜び勇んでいそいそ通い詰めます……と言ってもすぐにご対面とはいかず、逢瀬の回数を重ねた末に迎え入れてもらうのがマナーでした。
そこで、一刻も早く姫君に受け入れてもらえるよう、せっせとラブレター(恋の歌)を贈った光源氏ですが、その返事は一向に来ません。