殺されない!「ブラック病院&薬局」の見分け方

日刊大衆

写真はイメージです
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 病気を治療しに行ったはずが、命の危険にさらされる――そんな事態を回避するべく、役立つ知識を伝授!!

 肝硬変の疑いで検査したところ、肝臓とはまるで関係のない肺に穴を開けられて、脳空気塞栓症になって半身不随に――。そんな恐ろしい医療事故が、ペスト菌の発見者で知られる北里柴三郎博士ゆかりの『北里大学メディカルセンター』(埼玉県北本市)で起きた。「被害に遭った60代の女性と家族は、同病院を運営する北里研究所に損害賠償を求め、1月23日に、病院側に約1億3000万円の支払いを命じる判決が東京地裁で下されました」(全国紙社会部記者)

 この事故は、医師が肝臓の位置を十分に確認しないまま、体の外から針を刺す検査を強行したことが原因と見られている。信じられないようなミスだが、恐ろしいのは、今回の一件が、いわゆる“地域医療支援病院”で起きたことだ。「地域医療支援病院は原則、かかりつけ医師らによる紹介状がないと受診できないところです。患者にとっては、いわば最後に頼るべき存在の病院。そこで“ブラック”な医療事故が起きたというのでは話になりません」(医療問題に詳しい弁護士)

 重症患者の受け入れ先として、各地域の医療の中心となるはずの病院でも、あわや命を落としかねない大事故が発生しているのだ。「大学病院や総合病院などの大病院はもとより、病気になったらまずかかる地元のクリニック(診療所)でもミスや誤診がある。そこに、薬局での調剤ミスを含めると、毎日、どこかで10件以上の事故が起きているといわれています」(前同)

 ある60代男性は、雑誌に“名医”として取り上げられている医師の診察を受けたときの“ブラック”な体験を、こう振り返る。「十分な問診もないまま、半ば強制的に検査されることになったんですが、実は、その検査は私の病気には意味のない、まったく不要なものだったんです。先生には“最初にちゃんと話してくれなきゃ分からないよ”と叱られましたが、こちらの話を聞いてくれなかったのは先生のほうだったんですけどね……」

 こうなると、もはや名医の評判も当てにならない。医療事故に遭わないためには、患者側が危険な医師を見分ける術を身につけるしかなさそうだ。

■大病院での大きな注意点

 そこで今回は、総合病院や大学病院などの「大病院」、近所にあるクリニックなどの「個人病院」、そして薬を処方する「調剤薬局」の3つの区分から、“危険な特徴”をリストアップしてみた。まず「大病院」で大きな注意点となるのは“人間関係”なのだという。多くの総合病院で勤務経験がある『みつばちクリニック』(大阪府寝屋川市)の橋本惠院長は、こう語る。「大きな病院は、チームで医療を行えるという利点があります。一人の医師のうっかりミスがあっても、複数の目で見ていれば誰かが気がつき、大事になる前に軌道修正できる。しかし、人間関係がギスギスすると、その利点が失われてしまうことになります」

 つまり、和気あいあいとした雰囲気の病院と比べ、人間関係のマズい病院は、医療の質が落ちる可能性が高いというわけだ。「たとえば、A先生とB先生が犬猿の仲で、A先生が診た患者は、B先生は絶対に診ない……という病院も実際にありました。医師同士がケンカするような病院は、その他のスタッフも“上にならえ”でギスギスしがち。とても患者さんに気配りなんてできません」(前同)

 チェック項目で言えば、受付スタッフが無愛想で不親切」「医師や看護師が廊下の真ん中を歩いている」あたりが該当するが、これら以外にも、ナースステーションの雰囲気や、スタッフ間や患者へのあいさつからでも、感じ取れることはあるようだ。さらに、橋本院長によると、「医師のチームワークが、その病院の医療水準を左右する重大な要素」なのだと言う。したがって、チームワークが存在しないような病院には、けっしてかかるべきではない。「分かりやすい指標は、入院したときに回診がきちんと行われているかどうか。主治医だけが診察しているようでは、病院としての価値はゼロにも等しい」(前同)

 複数の医師がディスカッションしながら治療を進めるからこそ、医療の品質が保証されるのだという。そんな観点から見て、「複数の科で受診している場合、各担当医の連携が取れていない」ことは、危ない兆候の一つだが、特に深刻になるのは、がん治療のケースだ。「手術、抗がん剤、そして放射線治療にあたる担当医師の連携が取れておらず、それぞれが同じ治療方針を何回も患者に説明する……なんてこともあるようです」(医療関係者)

 そんな病院に行く価値がないことは、明白だ。

■個人病院はクリニックの看板に注目

 次は、地域密着型の「個人病院」。まず注目すべきは、クリニックの看板だ。医師の名前が1人しか書かれていないにもかかわらず、「内科」「小児科」「皮膚科」「耳鼻科」などと、多くの診療科目を掲げている場合は要注意。患者を集めるため、専門ではない科目まで挙げている可能性があるからだ。こうした病院では、的確な診断が受けられない恐れもある。「特に、自治体の生活習慣病検診を近所のクリニックで受診する際、内科の専門医でない医師にかかって、どれだけ生活習慣病予防のための指導が受けられるかは疑問です」(医療ジャーナリストの牧潤二氏)

 ちなみに、医師の専門科目は、病院の看板などで診療科目の一番上に掲げることが多いようだ。「ただ、複数の診療科目を掲げていても、専門医として認定を受けている人は大丈夫です。たとえば、その医師の得意分野が内科なら、日本内科学会のホームページで、その医師が専門医に認定されているかどうか確認できます」(前同)

 最近では医療の分化が進み、個人病院の役割の一つに、患者の選り分けがあるといわれている。つまり個人病院は、治せる疾患には対応し、手に負えない病気の患者には紹介状を書いて、地域医療支援病院などに送り出す役目を担っているのだ。「最悪なのが“患者を抱え込む”医師。初診で“とりあえず様子をみましょう”と診断され、後日、再診した際にも、また“もう少し様子をみましょう”と言われたら、疑ったほうがいいですね」(同)

 2週間たっても症状が改善しないのに、このような対応だった場合は、抱え込みされているとみるべきだろう。また、最近は少なくなってきたが、「抗生物質をすぐ出したがる」医師も危ない。「抗生物質は風邪の原因とされるウイルスに効かないどころか、耐性菌を作りしてしまい、本当に抗生物質が必要なときに効かなくなる危険性まで生じます」(前出の医療関係者)

 風邪と診断し、抗生物質を処方する医者は、“ヤブ医者”を疑うべきだろう。

 さらに個人病院では、緊急時の対応にも差が出る。「自宅で開業している場合はともかく、最近は貸しビルで開業し、夜間に医師が不在のクリニックが増えてきています。ただ、『電話再診』といって、電話で患者の相談に答えたら、クリニック側が診療報酬を受け取れる制度もあるんです」(前出の牧氏)

 つまり、病院側に時間外対応の有無を聞いてみて、電話での応対をしないという回答ならば、“かかりつけ医”にはふさわしくないということになる。「患者にすれば、医師に電話するのをためらってしまいがちですが、診療報酬は発生するので申し訳ないと思わず、堂々と問い合わせすればいいんです」(前同)

 また牧氏は、“ニオイ”もブラック病院を見抜くポイントだと語る。「ふだん取材していて、よく“あれっ?”と思うのは、トイレ臭が漂うクリニック。そういうところは衛生面がルーズなことが多いですね」

■調剤薬局にも危険が潜む

 さて、患者の命を脅かすのは、ブラックな医師や病院だけではない。「2017年には京都大学医学部附属病院で、薬剤師の調剤ミスで60代の女性患者が死亡しています。調剤時、計量器に表示される単位を勘違いし、処方箋せんの約1000倍もの濃度の製剤を作ったことが原因でした」(前出の社会部記者)

 今やコンビニよりも多いとされる「調剤薬局」にも、危険が潜んでいるのだ。薬剤師の平地治美氏は危ない薬局の特徴を、こう語る。「“お薬手帳をお持ちですか?”と聞かない薬局は要注意。6か月以内に同じ薬局を利用すれば条件次第で費用が安くなりますが、逆に薬局側は儲けが少なくなる。だから、あえて聞かないケースも少なくありません。そういう薬局は“儲け優先”の可能性があります」

 加えて、処方薬の説明が分かりにくい薬局や、服薬状況などのコミュニケーションが取れない薬局も避けたほうがよいという。「いつも患者であふれ返っている薬局もNGです。それだけ人気があればと安心してしまいがちですが、そんな状態では、薬剤師が個々の患者に対して十分な時間を取ってチェックすることができません」(前同)

 また、命に直接関わることではないものの、「知り合いの薬剤師に聞いてみても、不正請求をやっているところは存在します。薬局でもらう領収証には明細が書かれていますから、思い当たらない分が書かれていないか、毎回、ちゃんと確認したほうが無難です」(同)

 悪事に手を染めるような薬局に頼るべきでないのは、言うまでもない。

 いざというときのためにも、かかりつけ医と薬局を再チェックしてみては?

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