感染症に関する知識を正しく身に着けよう。疫学で学ぶ病気の広がり

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感染症に関する知識を正しく身に着けよう。疫学で学ぶ病気の広がり
感染症に関する知識を正しく身に着けよう。疫学で学ぶ病気の広がり

demaerre/iStock

 現在、世界中の科学者や医療関係者が日夜懸命になって、猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症が広まる仕組みや、それが世界のほかの地域に与えるリスクを解明しようとしている。

 感染症の流行動態を研究する科学の一分野に疫学がある。疫学は「確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布、およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」と定義されている。

 海外サイトにて、疫学の基本的な概念が説明されていたので見ていくことにしよう。正しい知識は、嘘の情報やいたずらに恐怖心を煽るニュースなどから守ってくれることだろう。
・その感染力はどのくらいか?基本再生産数

 感染症でまず気になるのが、その病気は一体どのくらい感染力が強いのか? ということだ。

 その力を把握する指標の1つが、「基本再生産数(R0)」である。

 これは1人の感染者から平均して何人の新しい感染者が生まれるかを表している。R0が1未満ならば、ある感染者からまた別の人にうつる可能性は低い。そのため、その感染症はやがて消えてしまう。

 だが1よりも大きければ、1人の感染者から平均1人以上の別の感染者が生まれるということを意味する。すると、新しく感染した人はまた別の人にもうつし、それ以上感染する人がいなくなるまで病気は拡大し続ける。

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metamorworks/iStock

・各感染症の基本再生産数

 たとえば一般的な季節性インフルエンザのR0は2~3ほどだ。ところが、麻疹(はしか)のR0は一般に12~18とされる。

 これは、麻疹にかかった人が1人いれば、そこから12~18人に感染する可能性があるということだ。だからワクチンがなかった時代は、あっという間に学校で大流行した。

 人口の中に病気に対する免疫を持つ人がたくさんいれば、それが広まる可能性は低くなるだろう。これを「集団免疫」という。

 ワクチンなどによって集団免疫が一定レベルに達すれば、病気はいずれ収束する。そして、その集団免疫レベルはR0が低いほどたやすく達成できる。

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wikipedia/基本再生産数

・新型コロナウイルスの致命率は?

 新型コロナウイルスの致命率を正確に推定するのはかなり難しいと言われている。今のところ十分なデータが得られていないからだ。
 
 2020年2月8日の予備的な試算によれば、1.4パーセントだという。つまり1000人の感染者がいれば14人が亡くなる計算だ。ただしこの数値は中国国外のデータから算出されたもので、中国国内データは含まれていない。

 だが今後、この数値は変化するだろう。今のところはSARSやMERSよりは低いように思われるが、中国の一地域で集中的に流行していることから、医療インフラに大きな負担を強いており、それがさら感染拡大のリスクにつながる懸念はある。

世界の新型コロナウイルスの患者数・死亡数がわかる地図
Coronavirus COVID-19 (2019-nCoV)
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(キャプチャーされている画像は2020/02/21現在)

・正しい知識で感染症の脅威から身を守ろう

 疫学は、「もし」と「およそ」の学問だ。

 天候や休暇シーズンなど、現実世界には複雑なもろもろのパラメータが存在しており、同じウイルスの2つのアウトブレイクが、異なる結果になることだって考えられる。R0が大抵は範囲で示されるのもそういうわけだ。

 それでも疫学は感染症の神秘性を払い、それに対応するための指針を与えてくれる。世界が緊密に結びつきあったこの時代において、国から国へと感染症がいかにして広まるのかを教えてくれる。

 また新型コロナウイルスをほかのウイルスと比較することができるようになり、現状や今後の進展について予測することが可能になる。

 新型コロナウイルスにはまだ分かっていないこともたくさんあるが、疫学からもたらされた知識がそれに打ち勝つ手助けしてくれることだろう。

References:The science of how diseases spread | Popular Science/ written by hiroching / edited by parumo
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