地球に衝突するリスクのある地球近傍天体が11個特定される(オランダ研究)
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オランダ、ライデン大学の天文学者はスーパーコンピューターのニューラルネットワークを使用して、10,000年以上にわたって太陽系をモデルし、最終的に地球に衝突する可能性のある小惑星をシミュレートした。
その結果、地球に衝突するリスクのある地球近傍天体が11個特定されたという。現時点では危険ではないが、将来的には地球に衝突する可能性もあるそうだ。
・ニューラルネットワークで衝突の危険性を予測
『Astronomy & Astrophysics』(2月4日付)に掲載された研究は、ニューラルネットワークを利用したものだ。
まずスーパーコンピューターで、今後1万年分の太陽と太陽系惑星の軌道をモデル化し、それぞれの天体の相対的な位置関係を追跡。そのうえで、少しずつ”過去”へさかのぼりながら、もし地球から小惑星を宇宙へ放り投げたらどうなるのかシミュレーションした。
こうすることで、地球に衝突する可能性がある”仮想"小惑星の軌道ライブラリを作成し、この仮想ライブラリの中に現在の小惑星に相当するものがないかチェックする。
またこの仮想軌道ライブラリは、ニューラルネットワークに危険な小惑星を特定する方法を教えるためにも使われる。
最初の計算にはライデン大学のスーパーコンピューター「ALICE」が使用されたが、一度ニューラルネットワークの訓練が完了すれば、普通のノートPCでも危険な小惑星を探せるという。
研究グループは、このシステムを「HOI(Hazardous Object Identifier)」と呼んでいる。オランダ語で「やあ」「こんにちは」の意だ。

Credit: ESA / P. Carril
・地球に衝突する可能性がある100メートル級の小惑星を特定
NASAのデータベースで検証したところ、HOIはすでに知られている潜在的に危険とされる地球近傍天体を90.99パーセントの精度で特定できたという。
さらに、これまでリスクなしとされながら、じつは危険かもしれない小惑星を11個も見つけ出した。それらは2131~2923年に地球と月の10分の1の距離まで近づくと予測されており、いずれも直径が100メートル以上ある。
ちなみに1908年にシベリアに激突し、半径30~50キロ範囲の森林を焼き払った「ツングースカ大爆発」を引き起こした隕石は、50~80メートルだったと推測されている。発見された11個の小惑星のヤバさが分かるだろう。
じつは11個の小惑星の軌道はかなり混沌としている。そのため、しらみ潰しにシミュレーションを行い、そこから確率計算をするような既存のソフトウェアでは、その危険性を認識することができなかったのだそうだ。

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・ニューラルネットワークを使った研究はこれからが本番
研究グループのポルトギース・ズヴァルツ教授によると、今回の研究は手始めの練習に過ぎないという。この手法が実際に有効であることが証明されたので、さらにニューラルネットワークや入力データを改善して、今後の研究につなげたいとのことだ。
ニューラルネットワークを使った手法は、宇宙関連組織が利用している既存の手法よりずっと速いという利点もあるようだ。小惑星の危険性を早期に察知することができれば、それだけ長い対策の時間を確保できる。
一方、軌道計算の小さな揺らぎであっても、最終的に大きな差異になるという難しさもあるのだそうだ。
References:Leiden astronomers discover potential near earth objects - Astronomie.nl/ written by hiroching / edited by parumo