反省してるの?平安時代の貴公子・在原行平が謹慎中にナンパした美少女姉妹の恋物語【下】 (3/4ページ)
「……と言うわけなので、私は因幡国(現:鳥取県東部)へ赴任せねばなりません」
事ここに至って、行平は初めて自分が罪によって流れてきたことを松風と村雨に明かします。
「やはり、あなた様はこのような片田舎に留まり続ける方ではないと思っていました……」
事情を知って納得した松風と村雨でしたが、どうしても行平について行くと言って聞きません。
しかし、いくら兵庫県から鳥取県と隣県への移動とは言え、旅の道中は現代とはケタ違いの労力とリスクを伴うものでした。
「それでも、私たちは行平さまとご一緒したいのです」
「そうです。私も村雨も、あなた様なしでは一日たりとも生きてはおれませぬ……」
困った行平は「いつでも私を思い出せるように」という形見に烏帽子と狩衣(かりぎぬ)を松の枝にかけて、一首の和歌を詠みました。

あなたがた二人が、いつまでも私を「まつ(松、待つ)」ならば……。
「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば いま帰り来む」
※『古今和歌集』巻第八・離別
あなたがたを愛すればこそ、危険な旅に同行させる訳にはいかないが、あなたがたがいつまでも私を愛し、待ち続けてくれると言うなら、今すぐにでもあなたがたの元へ帰って来ます。
そんな想いを詠まれてしまったら、待ち続けるしかありません。
「……解りました。