『麒麟がくる』ジリ貧視聴率を生んだ「2つの過ち」

日刊大衆

※画像はNHK『麒麟がくる』番組公式ホームページより
※画像はNHK『麒麟がくる』番組公式ホームページより

 初回放送の平均視聴率が19.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、絶好のスタートを切ったように見えた長谷川博己(42)主演の大河ドラマ麒麟がくる』(NHK系)。しかし、その数字はじょじょに落ち込み、第4話から第6話までの平均視聴率が3話連続で13%台と、期待外れの結果となっている。2月23日放送の内容を振り返り、なにが原因なのか考えてみよう。

 京の都を牛耳る管領の細川晴元(国広富之/66)が、三好長慶(山路和弘/65)と松永久秀(吉田鋼太郎/61)の暗殺を企てていることを知った明智十兵衛(長谷川博己)は、三淵藤英(谷原章介/47)らに直談判してこれを止めようとする。十兵衛は三好、松永らのもとに駆けつけて暗殺を阻止するが、このときの切り合いで腕に深い傷を負い……という展開だった。

 十兵衛が三淵に「将軍論」を熱弁するシーンや、紅葉が散る屋敷での戦闘シーンは素晴らしかったが、それでも視聴率は13%台にとどまった。主演、ハセヒロの見せ場は毎度あり、しっかりと作られているのだが、どこか物足りない感じを持ってしまった。これには、明確な2つの理由がある。

 まずは、ストーリー展開に重厚さが欠けている点だ。『麒麟がくる』は基本、1話完結で分かりやすい作りになっている。たとえば第1話は、野盗と戦い鉄砲を手に入れるために京に旅立ち、鉄砲も仲間もゲットするという流れ。その分かりやすい展開から「ロールプレイングゲームのよう」という言葉がニュースやSNSに踊っていた。ドラマの世界に誘う演出としては面白いのだが、これが何話も繰り返されているのが問題なのだ。

 第4話「尾張潜入指令」はそのタイトル通り、織田方の本拠地、尾張に十兵衛が潜入するというもので、第5話「伊平次を探せ」も刀鍛冶の伊平次を探すのが十兵衛の使命だった。そして第6話は前述のように、三好長慶の暗殺阻止がメインの話。十兵衛は毎話「クエスト」をクリアしているものの、物語全体を貫くタテ軸の描写が少なく、延々とRPGの一場面を見せられているような状態が続いているのだ。

■『麒麟がくる』が盛り上がるのはまだ先?

 この状態を受け「信長に仕えるまでは盛り上がらないだろうな」「次週が待ち遠しいとはならない」と、SNSでは厳しいコメントがあがっていた。気軽に見られるものの、毎話を通してみると奥深さが希薄なように感じられてしまうのだ。このRPGのようなノリを評価する声も少なくないが、いつまでも続くと離脱者はますます増えてしまうだろう。

 次の理由は、明智十兵衛のキャラの薄さだ。本作は20歳の十兵衛からスタートしている。もともと資料が少ないうえに、その青年期を描くということはハードルが高いのだろう。斎藤道三(本木雅弘/54)や松永久秀という濃厚なイケオジに囲まれた若き日の十兵衛は存在感が希薄で、“ただのまじめな熱い青年”という、退屈なキャラにしか見えない。

 それでも第6話では、駒(門脇麦/27)との胸キュンシーンなど、十兵衛の人となりが伝わる描写が見られた。このような人間味のあるシーンがもっと見たいところだ。十兵衛が明智光秀となり、かつて連続テレビ小説まんぷく』で見せたようなハセヒロの怪演が見られるようになれば、キャラもより深いものになるだろう。

『麒麟がくる』は戦国の英雄たちの若き日を描く「ビギニング大河」というテーマを掲げている。第1話は1547年からスタートしたが、クライマックスである本能寺の変は1582年であり、まだまだ先は長い。今までの大河ドラマ以上に、長い目で見守る必要があるのかもしれない。(松平彦作)

※画像はNHK『麒麟がくる』番組公式ホームページより

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