横浜流星のムダ使い?『シロクロ』視聴率惨敗2つのワケ
俳優の横浜流星(23)と清野菜名(25)のダブル主演ドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(日本テレビ系)の視聴率が低迷している。毎回、横浜の胸キュンシーンがSNSなどで話題になっているが、それだけでは数字にはつながらなかったようだ。
では、惨敗の理由はなんだったのか? まず、脚本の稚拙さがあった。横浜と清野の2人が解決する事件は、セクハラ、モラハラ、不正受験などで、時事ネタを取り入れているのだが、犯人が簡単に分かってしまうような陳腐な内容ばかり。同じように時事ネタを取り入れた、今期放送中の『知らなくていいコト』(日本テレビ系)に比べると、脚本が凡庸だった。
極真空手が特技だという横浜とアクションに定評がある清野というコンビ結成で、スカッと爽快な美男美女のバディもの(タイプの異なる2人組が難題に立ち向かう展開)が期待されていたが、残念ながらそれが生きるような物語内容とは言い難かった。
また、ドラマの主軸である、ミスパンダの正体、囲碁棋士の川田レン(清野菜名)と、ミスパンダを操る“飼育員さん”ことメンタリストの森島直輝(横浜流星)の設定が複雑すぎたことも、視聴者を途中で離脱させた理由のひとつだろう。
■盛り上がり始めるのが遅すぎた?
レンは10年前に双子の姉、リコを放火事件で亡くし、ネガティブな性格になっているが、ミスパンダに変身すると驚異的な身体能力を発揮する。また、レンを溺愛した母親は事件をきっかけに療養施設で生活しているが、かつてはリコを育児放棄し、おりに閉じ込めるなどの虐待を加えていた。
一方、直輝は、Mr.ノーコンプライアンス(佐藤二朗/50)の指示で世の中のグレーゾーンにシロクロつけるため、レンを催眠術で操ってミスパンダに変身させる。また、8年前に刑事だった父親(田中圭/35)が突然失踪し、白骨遺体で発見されており、その真相を独自に追っている……。
これらのてんこ盛りな伏線が複雑に絡まり、同時間帯で話題になったドラマ『あなたの番です』(同局系)のように、一部視聴者はレンと直輝についての“考察”で盛り上がってはいた。しかし、視聴率は第1話の9.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区/以下同)からズルズルと落ちていき、多くから支持されることはなかった。
ところが、現時点で視聴率の最低値(6.7%)を記録した第5話からドラマは急展開を迎え、皮肉にも目の離せない内容になっている。偽ミスパンダの登場により直輝とミスパンダが事件に巻き込まれ、犯人を追い込む立場から一転、警察に追われるようになったのだ。
また、レンは精神科医の門田(山崎樹範/46)によって、リコと人格を入れ替えられたことが明らかに。さらに、正義の立場と思われていたMr.ノーコンプライアンスが、実は直輝たちを追い詰める黒幕であることも匂わされるようになった。
■田中圭の登場も視聴率の後押しに
横浜と清野の華麗なバトルアクションも、回を重ねるごとに激しくなり見ごたえが出てきたが、時すでに遅かったようで、多くの視聴者が離脱してしまったため、その後も視聴率は7%台を低迷。
唯一の救いは、直輝の父親が隠していたファイルが見つかり、失踪の謎が解かれる展開になったことで、『あなたの番です』で横浜と共演した田中圭の新たな登場シーンが増えたことだろう。そのおかげか、ドラマが最終章に突入した3月1日放送の第8話は8.5%と、前回から1.1ポイントアップしている。
残すところ2話の『シロクロ』だが、背景が分かり始めて緊迫感が増しており、低視聴率で終わるには惜しい内容になりつつある。動画配信サービス「Hulu」を利用すれば、見逃し視聴できるので、直輝とミスパンダの活躍を最後まで見届けてほしい。(ドラマライター/ヤマカワ)