あなたはできる?一部の人は自らの意思で、耳の中で音を鳴らすことができる
あるツイッターの投稿が海外で話題となっていた。それはヨハネス・ミュラーというドイツの生理学者が1842年に発表した古い研究論文についてのツイートだ。
それによると、一部の人間は、耳の中で、自らの意思で音を鳴らすことができるらしい。その音は”ガーッ”とか””ゴーッ”といった感じなのだそうだが、「ああ、あれのこと!?」とピンと来た人はいるだろうか?
イタリア人のエンジニア、Massimoはこうつぶやいた。
一部の人たちは、耳の中にある鼓膜張筋(tensor tympani)を自分の意思で動かすことができる。この筋肉を収縮させて振動を作ると、音が鳴るのだ。その音は普通、ガーッやゴーッといった風に表現される
A part of the human population can voluntarily control the tensor tympani, a muscle within the ear. Contracting this muscle produces vibration and sound. The sound is usually described as a rumbling sound https://t.co/FjD36qFACU pic.twitter.com/ianKb60EK8
— Massimo (@Rainmaker1973) February 17, 2020
・耳の中で鳴り響く音の正体は?
「鼓膜張筋」は聴覚において結構重要な役割を担っている。
音波が耳に届いたとき音が聞こえるのは、鼓膜が振動して、最終的にその情報が脳に伝えられるからだ。だが、脳に達する前、鼓膜の振動は槌骨(つちこつ:malleus)、キヌタ骨(incus)、アブミ骨(stapes)という一連の骨に伝わり、さらに内耳へと伝えられている。
槌骨は鼓膜のすぐそばにある骨で、鼓膜の振動をキヌタ骨に伝える。問題の鼓膜張筋は、この槌骨につながっている。
これが収縮すると、槌骨を引っ張って鼓膜から離し、さらに鼓膜にテンションをかける。すると振動しにくくなり、内耳に伝えられる振動は減衰することになる。
鼓膜張筋の収縮は大きな音に反応して起こるので、内耳の細胞が大きな音で傷つかないようにする保護機能だと考えられている。
ほかにも低周波を隠して、高周波数を聞きやすくすしたり、咀嚼・会話・咳・あくびといった動作によって体内で生じる音から耳を守るといった機能もあるようだ。
libre de droit/iStock
・耳の中で音を鳴らせるのは1つの能力
一部の人たちは、鼓膜張筋を自分の意思で収縮させられる。するとゴーッという音が聞こえたり、手を使わないのに、手で耳をおおったような効果を得ることができる。
この能力の持ち主は、他の人にはこれができないと知ると、どこか自分に異常があると勘違いしてしまう人もいる。
2013年の事例報告によれば、27歳の男性が耳に力を入れると耳鳴りが起きることを心配して、医師の診察を受けたという。しかし、その症状はまさにここで紹介したことで、まったく正常なことだった。
鼓膜張筋を自分の意思で収縮させられなくても、耳の音を聞くことはできる。大きなあくびをしたときに、耳がゴーっと鳴ることはないだろうか?それが鼓膜張筋が収縮したときの音だ。
自分もこの能力を身に着けたいという人は、目をつむるとやりやすいという情報もあるので試してみよう。
ツイッターではこんな反応が出ていた。
・できた! これって珍しかったのか。自分の場合、目を閉じなきゃできないけど……みんなはどう?References:iflscience/ written by hiroching / edited by parumo
・俺にもこの驚異的な微妙な能力があるようだ。
・目を開けたままでもイケるわね。私ってミュータント?