コロナ疲れしている人の為の、今見るべき10の良い科学ニュース

カラパイア

コロナ疲れしている人の為の、今見るべき10の良い科学ニュース
コロナ疲れしている人の為の、今見るべき10の良い科学ニュース


 世界中に広がり続けている新型コロナウイルスの影響で、いつになったら普通の暮らしに戻れるのか心配している人も多いだろう。

 テレビ、新聞、インターネットからは連日連夜、コロナウイルスに関連するニュースが流れている状態だ。これではますます不安になるばかりだろう。

 こんな試練の時こそ光の当たる方向へ目を向けよう。日々起きているのは暗い出来事だけではない。人類にとって明るい未来につながるニュースや研究結果も続々と発表されているのだ。ここでは、心に留める価値のある最新の科学ニュースをいくつか見ていこう。
・1. 世界初、遺伝性盲目治療にCRISPRクリスパー技術が活用される

1_e3

 オレゴン健康科学研究所は、CRISPRという遺伝子編集技術を使って、幼少期に視力を失う遺伝子疾患の難病、レーバー先天性黒内障の治療をしようとしている。これは世界初の試みだ。

 これが成功すれば、この技術によって、ハンチントン舞踏病、ヘルペス、HIV、一部のガンの免疫療法など、そのほかの病気の治療も可能になる。こうした頼もしい技術をすぐに使える時代に生きていることは、本当にいいニュースだ。



・2. 6万種の種子のサンプルがスヴァールバル世界種子貯蔵庫に追加

2_e5

2020年2月、6万種もの膨大な種子サンプルが、ノルウェーのスヴァールバル諸島の山の中にある世界種子貯蔵庫に追加された。ここには、アメリカ先住民が所有していたお宝クラスの珍しい種まで保存されている。

 この貯蔵庫に預けられる種子が増えているということは、生物の多様性や食の安全が失われてしまう可能性への世界中の懸念が高まっているということだが、こうした行動は、未来の世代への大切な責任を示している。


・3. 万能なインフルエンザワクチンが重要な臨床試験を通過

3_e4

 インフルエンザウィルスは、常に人間の免疫機能の裏をかいて、姿形を変えて進化している。だから、感染しないためには、わたしたちは年一回、インフルエンザの予防接種を受けなくてはならない。

 しかし、この万能インフルエンザワクチンによって、人類はウィルスを大きく出し抜くことができるかもしれない。今現在ある、確実に有望な候補だろう。

 「Flu-v」というこのワクチンは、臨床試験フェーズⅠとⅡに合格して、人体への安全性が証明され、少なくとも半年間は免疫反応が継続することがわかっている。次のフェーズⅢ試験の結果が待ち遠しい。


・4. 色弱異常を矯正するコンタクトレンズが開発される

4_e1

 この新しいコンタクトレンズは、赤と緑の区別がつかない色覚異常の人の色のスペクトルの限界を回復させることができる。

 この画期的な技術は、すでにサングラスでは可能になっている。テルアビブ大学の技術チームのおかげで、もっと便利なコンタクトレンズでもうすぐ実現可能になるかもしれない。





・5. 幹細胞治療でHIVが治癒した患者

5_e1

 HIVウィルスキャリアの患者が、従来の治療をやめ、特殊な幹細胞治療を行ってから30ヶ月後、血中に感染の痕跡はないと宣言された。

 この患者は、このような実験的な治療を受けることができるタイプのリンパ腫をもっていたため、一般的な治療法は行っていない。しかし、この方法は、これまでに不可能だった境界を越えることができることを示し、医療科学の分野で真のブレイクスルーとなったことを実証してくれた。


・6. 世界初の夜空が美しい"ダークスカイ国"になったニウエ


Tiny Island is Named World's First 'Dark Sky Nation'

 南太平洋の小国ニウエは、このたびおもしろい名称をもらうことになった。国際ダークスカイ協会(IDA)から、初のダークスカイ国に正式に認定されたのだ。この組織は、人工光の影響から、自然な夜空を保護・保存する取り組みを行う非営利団体だ。

 光害が植物、動物、人間の健康に悪影響を及ぼすかどうかを示す科学的調査には、終わりはない。こうした名誉は、真に暗い夜空を求めることが、これまでと変わらず重要であることを強調している。


・7. 25倍も効果的な水素燃料製造のクリーン技術

7_e0

 水素燃料は、大量のエネルギーなしで、安価に実現できれば、より有望なゼロエミッション選択肢のひとつだ。

 東京理科大学の研究チームが、光と特定のタイプの錆など、いくつかの基本成分だけを使って、水素燃料を生産する方法を改良した。この方法は、従来法よりも25倍もの水素を生み出すことができることがわかっている。


・8. 再生可能エネルギーを蓄えるための優れた方法を考案

8_e0

 再生可能エネルギーを広く採用するためのもっとも大きな難題のひとつは、大規模な貯蔵所の問題だ。それを見事に解決したのが、熱電気揚水システム。電気を熱に変換し、エンジンを使う必要に応じて、電気に戻すというもの。

 特殊な地形が必要な揚水発電と違って、このタイプの貯蔵所はどこでも建設することができ、熱力学原理を利用して、熱という形で電気をためておくことができる。さらにいいことに、この技術はすでにパイロットプラントで試験済だということだ。


・9. 気候変動の原因を太陽のせいとした間違った論文が撤回される

9_e

 2019年6月、Scientific Reports誌に発表された奇妙な論文が物議をかもした。太陽の動きが地球温暖化の本当の原因だとするこの誤まった論文に、科学界は早速懸念の声をあげた。

 現在、この有名な雑誌の編集者たちは、雑誌の内容を修正し、間違っていることを説明して、この論文を撤回した旨を発表した。

 たとえ間違った論文が同業者ビューをすりぬけたとしても、間違いを正す科学的プロセスは十分に厳密であることを示したわけだ。この潔い事例について、ここでその顛末を読むことができる。


・10. 気候変動を遅らせる解決法は76もある

10_e0

 非営利団体プロジェクト・ドローダウンの新たなレポートによると、気候変動を遅らせるために、世界がすぐに実行できる解決法はすでに76もあるという。

 エネルギー生産の手段を変えることから、食品廃棄物を減らす、あらゆる分野で女性の能力を活用することまで、さまざまな戦略がある。

 さらに、こうした解決法は、現状維持、つまり、なにもしないよりも実際に安くつく。プロジェクト・ドローダウンは、この76通りの解決法を実行したら、気候変動による損害や汚染が関連する健康管理のコストを、144兆米ドル節約することができると見積もっている。


追記(2020/03/20)本文を一部修正して再送します。
References:Tired of The Coronavirus? Here Are 10 Good News Stories You Need Right Now/ written by konohazuku / edited by parumo
「コロナ疲れしている人の為の、今見るべき10の良い科学ニュース」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧