薬の処方に影響?製薬会社が医師に行う「弁当接待」とは (2/2ページ)

新刊JP

製薬会社からしたら、自社の薬の名前をおぼえてもらい、同じような薬を売っている他社を押しのけられるなら、一人前3000円ほどの弁当の出費など小さな出費というわけだ。こうした手法にはさまざまな批判があり、露骨な宣伝は年々少なくなっているそうだが、製薬会社から医療従事者への食事の提供は、今でも日本だけでなく世界的に行われているという。

■製薬会社から食事提供を受けた医者は薬の処方が変わる?

ただ、医師ともあろうものが、たかだか弁当を出してもらった程度で本当に「なびく」のだろうか、という疑問は残る。

しかし、これが案外なびいてしまうようなのだ。
アメリカの例だが、同国には、製薬会社から医師への食事代を含む支払いを集計した「オープン・ペイメンツ・データ」というものがある。このデータを利用して、一人ひとりの医者に対して「食事提供をうけているかどうか」「受けているならどれくらいの値段と回数なのか」といった細かいデータを集める調査が行われた。

同時に処方薬の給付保険の記録から「それらの医者がどの薬をどれくらい処方したのか」というデータを取り出し、照合することで、無料の食事を提供されたことのある医者とそうでない医者で、処方内容に違いがあるのかを比較することが可能になった。

結果から言えば、日本円で2000円程度のものであっても、食事提供を受けていると、宣伝された薬の処方率が増加し、その回数や額が増えるほど処方率も増加していたという。この調査をまとめた論文は2016年に医学専門誌に掲載され、大きな話題を呼んだ。

もちろん、すべての医師が食事提供を受けるわけではないし、食事提供を受けたからといって処方を変える医師ばかりではない。ただ、医師といえども人間であり、何かをもらったら何かを返して報いたくなる「返報性」の心理は働くのだということは覚えておいて損はないだろう。

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私たちの命に時に深くかかわる薬は、莫大なお金が動き、それだけに様々な人々の思いが交錯する。

それはここで取り上げた薬の販促活動だけでなく、薬価の決まり方や、薬の処方の仕方についても同じことが言える。本書ではこうした普段知ることのない医療と薬の裏話が満載。普段何も考えずに医者にかかっている「思考停止」の人ほど、目からウロコが落ちるはずだ。

(新刊JP編集部)

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