絶対にかかりたくない。7つの恐るべきブービートラップ

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絶対にかかりたくない。7つの恐るべきブービートラップ
絶対にかかりたくない。7つの恐るべきブービートラップ


 ブービートラップとは、敵の侵攻に備えるために戦場に仕掛ける、要するに罠のことだ。敵兵が迫ってきたら、彼らの関心を引きそうなものに爆弾などを仕掛け、それを手にした間抜け(ブービー)を殺傷する。

 ブービートラップはおそらく最古の兵器である。近接兵器や飛び道具が発明される前、獲物を狩るために使われたのは罠であった。

 無論、狩猟採集社会の罠は、現代のブービートラップのような緻密かつ危険なメカニズムとは比べようもない原始的なものだ。それでも、根幹にある発想は似通っている。

 かくも古いものでありながら、現代の戦争でも十分効果的な代物だ。これが猛威を振るった事例として、ベトナム戦争が挙げられる。

 その定義は幅広く、単純に落とし穴にナイフを仕掛けたようなものもブービートラップに当てはまる。以下では、そんな多彩なブービートラップを紹介しよう。
・7. 墓場に銃

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bernswaelz from Pixabay

 人は死に敏感な生き物だ。死者を扱う方法は文化によって異なるが、ただ単純に土に埋めるだけのものから、さまざまな副葬品とともに手の込んだ方法で埋葬するようなこともある。

 後者の場合、そのまま放置しておけば、盗掘者によって墓を暴かれ、死者に敬意を表して埋められたせっかくの品々を持ち去られるのがオチだ。

 18世紀、テキサス州アーリントンは墓泥棒の横行に悩まされていた。だが連中の目当ては墓の中の財宝などではなかった――遺体だ。当時、大学病院が実験用の検体を喉から手が出るほどに欲しがっており、遺体の需要が急上昇していたのだ。

 不届き者の蛮行に手を焼いた当時の人たちは、愛する人の亡骸を守るために、墓に銃を利用したトラップを仕掛け、見事墓泥棒を食い止めることに成功したのである。

 この銃は、一連のトリップワイヤーがトリガーされると適切な方向に銃口が向き、泥棒に発砲される仕組みになっている。アメリカの博物館には、そうしたトラップが展示されている場所がある。
 

・6. パンジ・スティック(先端を尖らせた竹の断片)

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U.S. National Archives and Records Administration / wikimedia commons

 銃や戦車といった従来の兵器よりも、奇襲や罠が大きな戦果をあげた戦争がある――ベトナム戦争だ。

 南ベトナム解放民族戦線の兵士たちは、大国に対して正面から戦いを挑むような愚を犯さなかった。解放戦線の兵力が米軍よりも圧倒的に劣っていたことを考えれば当然だ。
 
 それをよく分かっていた解放戦線は、ただの殺傷を目的とするのではなく、恐怖心を植え付けるような狡猾なトラップを仕掛けた。ただでさえ地の利は解放戦線側にあったのだ。トラップは大いに効果を発揮した。

 そうしたものの1つにパンジ・スティックが挙げられる。

 これは鋭く先端を尖らせた竹を、敵が通りそうなジャングルの小道に角度をつけて突き刺しただけのものだ。それでもブーツの底を貫通するくらいの威力があり、ときに人間の糞便やヘビの毒を塗って、ある種の生物兵器的な工夫が凝らされているものもあった。

 アメリカ兵が負った負傷の2パーセントはこれによるもので、心理的な効果も大きかったという。その有効性は広く認知され、これ以降の数多くのゲリラ戦で、パンジ・スティックが取り入れられることになる。


・5. 秦の始皇帝陵に仕掛けられた罠


Qin Shi Huang Tomb.mpg

 財宝と罠でいっぱいの古代の墓というシチュエーションは、往年の映画ファンならずともワクワクするものがある。危険な罠をかい潜りながら、見事財宝を手にするインディ・ジョーンズの勇姿は、自分もまた冒険家になって宝探しの旅に出たいという気にさせる。

 だが、盗掘や考古学的調査から数千年も墓が守られてきたという事実は、現実と映画は別物なのだという大切な教訓なのである。

 特に有名なのは、秦の始皇帝の墓だろう。そう、兵士や馬の等身大人形で有名な、観光スポットとしても人気の始皇帝陵のことだ。しかし、ここを研究する考古学者によれば、その奥深くへと進むのは得策ではないようだ。
 
 最近の発見によると、陵の奥にはまだまだ秘密が隠されている可能性が濃厚であるそうだ。だが不思議なことに、誰も最初に行こうとはしないのだとか。

 古文書に危険なトラップの存在が記されているからだ。本当に罠が仕掛けられているのかどうかは定かではない。だが、古文書の記述は、それ以外のところについては正確であるという。


・4. 毒ヘビ

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zabelin/iStock

 ベトナムで戦う米軍の兵士たちは、見えない敵の影に怯えて眠る余裕すらないほどの極限状態に置かれていたが、それに追い討ちをかけられるように、ジャングルの自然にも苦しめられた。解放戦線の奇襲やトラップから逃れることができたとしても、今度はマラリアが容赦なく彼らの命を奪って行ったのである。
 
 そんな悪夢の中でも、手を変え品を変え繰り返し彼らの前に現れたのがヘビである。ベトナムは世界有数の危険なヘビが生息する国だ。現地の人間ならどれが危険なヘビで、どう対処すればいいか熟知しているだろうが、よそ者のアメリカ兵には初めての体験だ。これが戦場でも解放戦線に大いに有利に働いた。

 たとえば、ある落とし穴は、巧妙に隠されている点では、すでに紹介したパンジ・スティックに似ているが、その中には恐るべき毒ヘビが隠されていた。

 あるいはバックパックの中に毒ヘビを入れて、放棄した拠点にそのまま残しておくという手もあった。間抜けな兵士が値打ち物が入っていないかとバックパックを開けた瞬間、ガブッと致命の牙が突き刺さるのだ。



・3. 美術品に仕掛けられた罠

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Kridsada Kamsombat/iStock

 戦場で使われるブービートラップが肉体的にも心理的にもダメージを与えるのは確かだが、それで苦しむのは多くが末端の下級兵士たちだ。経験を積んだ将校が、たとえば地面に落ちていたドイツの高級チョコレートに釣られるという状況は考えにくいだろう。

 ナチスはそのことをよく理解しており、下級兵士ではなく、もっと地位の高い人間の気を引けるよう美術品に罠を仕掛けることにした。これがじつに上手くいったのだ。

 第二次世界大戦中、あなたは連合軍の将校だったとしよう。戦争も末期となり、ついにドイツに占領されていた領地を解放することができた。となれば、町の裕福な邸宅で高価な絵画にお目にかかれるチャンスもあるだろう。

 それを眺め、かくも美しきものが戦火で失われなかったことに安堵するかもしれない。だが、もしその額がほんの少し傾いているようだったら、色気を出して絵画を頂こうなどとは思わないことだ。十中八九、ブービートラップであるからだ。

 ナチスはヨーロッパ各地の占領地から撤退する際、絵画に爆発物を仕掛け、わずかな振動で爆発するようにした。これは連合軍のトップを狙ったトラップだ。というのも、壁にかけられた額の傾きを気にして直そうとするのは、相当に地位の高い人物に違いないからだ。


・2. 地面に埋め込まれた実包トラップ


CartRidge trap

 映画などで銃に弾丸を込めるシーンを見たことがあるかもしれない。だが弾丸と一口に言っても、それは弾丸・薬莢・雷管などいくつかのパーツで構成されており、これら一式を実包やカートリッジなどという。

 ベトナムでは、この実包を利用したトラップが考案された。地面が突如として銃に変わってしまう、危険極まりないものだ。

 小さな木の板の上に竹の筒を立てて設置し、その筒の中に実包を入れる。そして地面を軽く掘り、その穴の中にトラップを入れたら、落とし穴のように開口部を薄い板でふさぐ。

 何も知らない哀れな犠牲者が板の上に足を乗せてしまうと、そのまま踏み抜き、実包を踏みつける。すると雷管に圧力が加わり、先端の弾丸部分が発砲されるのだ。当然、足はいともたやすく撃ち抜かれる。

 足にひどい怪我を負っても、死ぬよりはマシだと思うかもしれない。だが、これは意図的に殺さないようにしているのだ。ベトコンの狙いは、敵の殺傷ではなく、無能力化だった。というのも、兵士を埋葬するより、治療する方が高くつくからだ。

 まともに歩くことすらままならない大地で、アメリカ兵の戦意は削がれまくったのだ。


・1. ダブルトラップ

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zabelin/iStock

 戦場では異色の存在であるブービートラップが、非常に効果的な兵器であることはお分かりいただけただろうか?

 それが、たとえばアサルトライフルのような強力な銃火器に匹敵するかどうかは議論の余地があるだろうが、とにかくその効果は敵の肉体よりも心を打ち砕いた。ベトナムで利用されたトラップは、アメリカ兵たちの心を折り、やがては撤退へ追い込むことになった。

 だが、最恐のトラップは、二重に仕掛けられたものだ。第二次世界大戦ではこのような状況があった。

 ――ある将校が戦場で高価な銃を発見する。もちろん将校も無能ではない。わざと目立つように置かれた銃を見て、トラップに違いないと思った将校は、近くにあった塹壕へと飛び込んで身を隠した。

 だが、ナチスの兵士はそうした反応を想定済みだ。塹壕の中にはさらに爆発物が仕掛けられており、将校ははかなく散ることになった。

第二次世界大戦時のブービートラップ

Booby traps in World War Two
References:The Scariest Booby Traps Ever Deployed - Toptenz.net/ written by hiroching / edited by parumo
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