歴代総理の胆力「大平正芳」(4)「弱気でどうする」と角栄 (2/2ページ)
『総理はいつも二言足りない』という話を聞いたことがあるが、私もまったくその通りだと痛感しました。シャイな父の本姿が、世の中に理解されることを期待してやみません」(『一億人の昭和史・日本人8・三代の宰相たち』毎日新聞社)
振り返れば、大平は「矩(のり・守るべきこと)」をわきまえた、愛すべき「鈍牛宰相」だったと言ってよかった。そこに、世論の拍手もまた多かったのだった。
■大平正芳の略歴
明治43(1910)年3月12日、香川県生まれ。東京商科大学(のちの一橋大学)卒業後、大蔵省入省。昭和27(1952)年10月、衆議院議員初当選。昭和53(1978)年12月、大平内閣組織。総理就任時68歳。昭和55(1980)年6月12日、衆参同日選挙のさなかに急性心不全で死去。享年70。
総理大臣歴:第68・69代 1978年12月7日~1980年6月12日
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。