下水の検査で新型コロナウイルスの潜在的な感染者数を把握できる可能性 (2/2ページ)
そこで、下水検査を定期的に行うことで、新型コロナの流行を匂わせる初期の兆候を察知できると、オランダ国立公衆衛生環境研究所のアナ・マリア・デ・ロダ・ハスマン氏は話す。
同研究所は、これまで下水検査でノロウイルス、薬剤耐性菌、ポリオウイルス、はしかウイルスを検出してきたが、新型コロナでもその有効性を確認済みだ。
たとえば、デ・ロダ・ハスマン氏は、オランダで新型コロナ感染症が初めて確認されたわずか4日後には、空港の下水からウイルスの痕跡を検出することに成功している。さらにメデマ氏も、国内の某都市で感染者が報告されるよりも先に、下水からウイルスのRNAを検出した。
Hermann Hammer from Pixabay
・便には病気が発症するよりも早くウイルスが含まれるようになる
いくつかの研究は、新型コロナが感染から3日以内に便内に排泄されることを明らかにしている。感染者が体調を崩し、診察を受けるようになるまで、長ければ2週間はかかる。それよりずっと早いのだと、チューリッヒ工科大学(スイス)のタマル・コーン氏は話す。
下水に漂うウイルス物質を追跡すれば、公衆衛生当局は、これまでより早い段階で封鎖措置などを実施するか否か判断できるようになるだろう。7~10日という期間は、アウトブレイクの深刻さを大きく左右するだけの時間だ。
現在、デ・ロダ・ハスマン氏のグループは、オランダ国内12県の県庁所在地とまだ感染者が確認されていない12地域での下水検査を予定しているそうだ。
References:How sewage could reveal true scale of coronavirus outbreak/ written by hiroching / edited by parumo