嫌いじゃない。雨が降った後に地面から漂う独特のニオイの正体は?(オーストラリア研究)
雨が降った後、独特の匂い(ニオイ)を感じたことはないだろうか?特に緑の多い自然の中、土に降った雨の匂いは、どこか心が癒されるものがあり、結構好きという人もいると思う。
雨の匂いに癒されるのは、決して気のせいなどではないようだ。それはある生物をおびき寄せる、甘い誘惑であり、細菌の生存策略なのだという。
・雨の匂いの元は土の中にいる細菌によるもの
『Nature Microbiology』(4月6日付)に掲載された研究では、「ストレプトマイセス属(ストレプトミケスとも言う)」の細菌が放つ匂いが動物に与える影響を観察している。
600種以上が属す放線菌最大のグループであるストレプトマイセス属は、土の中や腐った植物などに潜んでいる。
その特徴は、「ゲオスミン」という土のニオイがする化合物を放出していることだ。
ゲオスミンは雨上がりに特に空気中に舞い上がりやすい。だから、普段はあまり気がつかないかもしれないが、雨が降った後は私たちにも土の匂いが感じられる。これが雨の匂いの正体だ。人間は特にこのゲオスミンに対する嗅覚が鋭いのだという。

・土の匂いに引き寄せられるトビムシ
人間が雨上がりの土の匂いが嫌いじゃないように、この匂いが大好きな昆虫もいる。
モナシュ大学(オーストラリア)の研究グループの観察よると、「トビムシ」という昆虫の近縁は、この土のニオイが大好きなのだそうだ。
彼らは、触覚でその匂いを嗅いでは、ストレプトマイセスに引き寄せられる。そして、トビムシがそれを食べると、体には細菌胞子が付着する。
そうした胞子は、トビムシが方々へ歩き回り、いく先々でフンをすることで拡散される。どうやらストレプトマイセスは、匂いでおびき寄せられたトビムシを利用して、自分たちの勢力を拡大させているということらしい。
ストレプトマイセスの代謝物には結核の治療に用いられた最初の抗生物質「ストレプトマイシン」が含まれている。これはハエや線虫など、他の虫にとっては毒であるが、トビムシはこの物質を腸で解毒することができる。なので食べることができるのだ。
このところ、家に閉じこもってばかりでいい加減イライラするという人も多いだろう。次に雨が降ったら、土のある場所に行き、その匂いを胸いっぱいに吸い込んでみてはどうだろうか。少しは気分が安らぐかもしれない。
References:nature. / sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo