冷戦時代の核爆弾で明らかとなったジンベイザメの年齢(国際研究)

カラパイア

冷戦時代の核爆弾で明らかとなったジンベイザメの年齢(国際研究)
冷戦時代の核爆弾で明らかとなったジンベイザメの年齢(国際研究)

Placebo365/iStock

 「ジンベエザメ(学名 Rhincodon typus)」は全長最大10メートル、体重20トンにも達する世界最大級の魚だ。

 これほどの巨体を誇り、しかも広い生息域(熱帯全域。繁殖期には長距離を移動すると考えられている)を持つにもかかわらず、絶滅危惧種であり、そのために野生の生態を研究することは難しい。おかげで繁殖方法や寿命といった、基本的な部分でさえ分かっていない謎の多い魚だ。

 これまでの研究で、ジンベイザメは、およそ130年くらい生きることが示唆されていたが、新たなるアプローチで、その寿命を明らす試みが行われた。

 その方法とは、冷戦時代の核爆弾が残した放射性炭素を利用するやり方だ。
・ジンベエザメの背骨に残された核爆弾の放射性炭素

 『Frontiers in Marine Science』(4月6日付)に掲載された国際的グループによる研究では、「炭素14」の年代を測定している。

 これは自然界でも生成される炭素の放射性同位体だが、1950~60年代においては、この時期に実施された核実験によって大気中に大量に放出されていた。
 
 このときの炭素14が、ジンベエザメの背骨に吸収されているのである。もちろん、以前、台湾とパキスタンで漁網に絡まってしまったジンベエザメの背骨からも見つかっている。

whale-shark-281498_640_e_e


・樹木と同じように椎骨の年輪から年齢を推測

 樹木には、成長に応じて毎年年輪が作られるので、その数を数えれば年齢を知ることができる。

 じつはそれと同じものがジンベエザメの椎骨にもあるという。ところが、そうした年輪が作られる仕組みがよく分かっていなかったため、これまで単純にその数を数えてサメの年齢を推測することはできなかった。

 一方、炭素14はかなり安定した割合で崩壊するので、椎骨の年輪に含まれる炭素14と他の同位体との比率の微妙な違いを調べることができる。

 これさえ分かってしまえば、ある年輪が形成されてから次の年輪が形成されるまでに、どのくらいの時間が経過しているのか正確に特定できるようになる。つまり年輪の数からジンベエザメの年齢を知ることができるということだ。

iStock-1082187048_e_e


・ジンベエザメはやはり100年以上生きる

 今回調べられたジンベエザメは2頭。2012年にパキスタンで揚がった全長10メートル、体重7トンのメスと、2005年に台湾で揚がった全長9.9メートル、体重8.5トンのオスだ(どちらもすでに死んでいる)。

 調査の結果、ジンベエザメの年輪が毎年形成されていることは間違いないことが判明。台湾のジンベエザメは35歳、パキスタンのものは50歳だったそうだ。

 どちらのサメも寿命で死んだわけではなく、もっと長生きする可能性があった。これまでの研究で13
0歳まで生きる可能性があると指摘されるなど、ジンベエザメはかなり長寿であろうことが推測されてきたが、今回の発見もまたこのことを裏付けている。
 


 ジンベエザメの平均的な寿命をもっと絞り込むことができれば、保全戦略の策定にも役立つだろうと研究グループは述べている。


・ジンベイザメの声らしき音

 ちなみに、2016年、BBCドキュメンタリーシリーズ「ブループラネット2」の撮影映像にジンベイザメの声らしき音声が含まれているのではないかという話もある。

 ビデオディレクターで研究者のジョナサン・グリーン氏がこの映像を確認していたところ、かすかな異音に気が付いた。彼はこれがジンベエザメの声ではないかと推測し検証中だが、ジンベイザメが鳴き声を発するとは考えにくい。

 だが明らかにその音声は機械によるものではなく、生命体の発する音であるという。

 以下の動画の0:20あたりからよく聞いてみて欲しい。


Китовые акулы умеют говорить
References:sciencedaily/ written by hiroching / edited by parumo
「冷戦時代の核爆弾で明らかとなったジンベイザメの年齢(国際研究)」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る