川口春奈、“沢尻エリカの呪縛”を解く『麒麟がくる』覚醒演技
長谷川博己(43)が明智光秀を演じる大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)が、いよいよ調子を上げてきた。一時は視聴率13%台(ビデオリサーチ調べ/関東地区)まで数字を落とした本作も、ここのところは右肩上がり。4月12日放送の第13話は15.7%と3週間ぶりに15%超えを果たした。
この日は織田信長(染谷将太/27)と斎藤道三(本木雅弘/54)が聖徳寺で会見するまでの双方の胸の内が描かれ、木下藤吉郎(佐々木蔵之介/52)も初登場し、ついに役者がそろった印象だ。しかし、このドラマで今のところもっとも輝いているのは、染谷演じる信長でも、まだまだ地味で道三の使い走りでしかない主役の明智光秀でもない。文句なしで帰蝶(川口春奈/25)だろう。まずは先週の放送を振り返ってみよう。
美濃では斎藤道三と土岐頼芸(尾美としのり/54)が対立。どちら側につくかを迫られた明智光秀が、この戦は国をほろぼすものになってしまうと道三に訴えたところ、道三は本当は戦をするつもりはないと本音を語る。一方、尾張では、信秀(高橋克典/55)亡き後、家督を継いだ織田信長のもとに、道三から会談を申し出る文が届く。これを断ろうとする信長を帰蝶は説得。その後、伊呂波大夫(尾野真千子/38)に近づき、短期間のうちに多くの鉄砲隊を用意して……という展開だった。
「帰蝶のはかりごと」というタイトルの通り、帰蝶の活躍が目立つ放送回だった。「これから父上と私の戦じゃ」とほほ笑む凛とした姿を見て、もはや川口春奈がただの「代役」ではないことを痛感した。沢尻エリカ(34)の逮捕を受けて緊急登板となった当初は、どうも時代劇に溶け込めてない印象があった川口の演技だが、織田信長に嫁いだ頃から帰蝶と見事にシンクロ。美濃のまむし、斎藤道三の娘として、国を思う気持ちを覗かせながらも、夫の信長に寄り添う戦国武将の妻として、男だらけの戦国ドラマに華を添えてきた。
この放送で一番印象的だったのが、伊呂波大夫に鉄砲隊を用意するよう迫るシーンだ。ツイッターには「可憐さを残しつつ底の知れない女感が出てるのすごくいいな」「尾野真千子と対峙しても引けを取らないのがすごい」と、川口春奈の演技を絶賛する声が相次いだ。
■川口春奈だからこそ生まれた帰蝶の恐ろしさ
気の強いお姫様という設定は、当初、帰蝶を務めるはずだった沢尻エリカをイメージしてのことだったのだろう。クールな女王様キャラの沢尻がこのシーンを演じていたら、尾野真千子とバチバチ火花を散らす、女の戦いになったはずだ。
確かに腹黒い女同士のドロドロしたやりとりも見てみたかったが、結果として沢尻よりも10歳近く若く、ピュアなイメージが強い川口が演じることで、帰蝶がよりミステリアスで底の知れない女性として描けたように思う。
清楚であどけない彼女だからこそ、帰蝶の恐ろしさを見事に表現できたのだ。時代劇特有のセリフまわしも以前よりうまくなっていて、彼女が女優として一段上のステップに登ったことは間違いない。これまではアイドルのような位置づけでかわいいヒロインを担当することが多かった川口だが、本作でかわいいだけではない、さまざまな女性を演じられることを証明してみせたのだ。
エリカ様の代役だったのもはや過去の話。『麒麟がくる』は現在ロケを中断しているが、川口春奈の活躍を受けて、ぜひ帰蝶の登場シーンを増やしてもらいたいものだ。(ドラマライター・半澤則吉)