女学生は髪を切ってはいけない!?校則問題は太平洋戦争前の女学生にもあった

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女学生は髪を切ってはいけない!?校則問題は太平洋戦争前の女学生にもあった

「茶髪証明書」に「黒染め」!?世間を騒がせる「ビックリ校則」

日本には、現代でも「校則のやたらと厳しい学校」が存在するようです。中でも髪の毛に関する決まりについては、理不尽なほど厳しい話をよく耳にします。

・ハーフでもともと髪の茶色い生徒が強制的に髪を黒く染めさせられる
・天然パーマの生徒にストレートパーマ等をかけさせる
・生まれつきの茶髪や天然パーマの生徒は、親が「証明書」を学校に提出しなければならない

しかしこれらについて「なぜいけないのか?」と学校側に質問すると、答えは「校則に反するから」の1点張りのことがほとんど。おそらく本当の理由は「生徒を『みんな同じ』にさせなければいけないから」なのでしょう。

このような「トンデモ校則」は、なにも最近になって急に出現したものではありません。実は太平洋戦争の前後にも、「いったいなぜ!?」と思うような校則は存在したのです。

戦前にあった女学生のビックリ校則は「髪を切ってはいけない」

その校則とは「女学生は髪を切ってはいけない」というもの。太平洋戦争直前の頃、「校則」として全国の女学校に「女学生は全員髪を長く伸ばすべし」という国からの通達が出たのです。

それ以前にも、女性の髪の毛については現在では信じられないような厳しい決まりがありました。

明治維新後、政府は「散髪脱刀令」を発布し、男性はそれまでのちょんまげを切って散髪にする人が増えました。

この時、女性の中にも髪を切る人が増えたのですが、「髪が長いことが美しさの条件である女性が、髪を短くするなんて!」という反対の声が上がり、ついに1872(明治5)年に「女性の断髪禁止令」が発令されてしまいます。

髪を切ってはいけない理由は…やっぱり「なんとなく」だった!

それにしても、なぜ昭和に入ってからも敢えて女学生たちに対し「髪を切ってはいけない」という校則を押し付ける必要があったのでしょうか?

これについて、興味深い記録が残っています。当時、大阪の高等女学校の校長が「なぜ女学生は髪を切ってはいけないのか?」と記者に質問され、このように答えたというのです。

「特にこうという理由はないが、小学生ならばともかく女学生くらいの年頃になったら伸ばした方がいい」
「女学生は洋服だから、髪くらいは日本古来の女性のように長くするべき」
「挨拶をするとき、髪が短い女子は髪が前へバサッとなり行儀が悪い」

どれも「後付け」のような理由ばかりです。

しかし校長はこのとき
「統制という問題も含まれている」
とも明言していました。

当時は太平洋戦争直前という、日本が戦争にまっしぐらだった時代。おそらくこれこそが、女子の断髪を禁止した一番の理由なのでしょう。

現代の日本では、女性の髪形だけでなく様々な面が「自由」になったといわれますが、学校卒業後の就職や結婚・出産の「適齢期」の概念など、人生における「多様性」という面ではまだまだ「右へならえ」の印象を受けます。

もしかしたら「学生時代の厳しい校則による『統制』」が、功を奏しているのかもしれませんね。

参考

『ザ・歴史トリビア』著:西沢教夫/廣済堂 校則あるある?中学校や高校の厳しすぎる理不尽で面白い例30選! 4月5日は『ヘアカットの日』明治時代、女性は簡単に髪を切れなかったって本当?

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